スマホが世界をちょっと狭くしたなあ
台湾を旅しました。台湾の人たちは、スマホの翻訳アプリを使って話しかけてくれ、とても親切にしてくれました。スマホがある海外旅行は、“アウェイ感”をあまり感じずに済むなあと思いました。
筆者:岡田有花
フリーランスのITライター、2児の母。この1月、5年ぶりの海外旅行で台湾を旅した。
先日、台湾を旅行をしました。友人家族と一緒に、子連れの3泊4日でしたが、台湾の人にいろいろと親切にしてもらい、「台湾の人は優しいなあ。これこそ“おもてなし”だなあ」と感じることがたくさんありました。
例えば、バスや電車に子供を連れて乗ると、台湾の人たちは、すごい勢いで子供に席を譲ってくれます。混んだ地下鉄でも、優先席は子供や高齢者のために空けられていて、若い人は座りません。
台湾の人たちが、翻訳アプリを使って私たちと一生懸命コミュニケーションしようとしてくれたことも印象的でした。
観光地に移動するため路線バスに乗っていた時、トントンと肩を叩かれました。振り向くと、10代後半の女の子が、私にスマホ画面を見せています。そこに書かれていたのは、「かばんのチャックがあいています」という日本語でした。
筆者のリュックのチャックが全開になっていたのを見た彼女が、スマホの翻訳アプリを使って、中国語のメッセージを日本語にわざわざ翻訳して、見せてくれたのです。私はあわててチャックを締め、お礼を言いました。
台湾の人が翻訳アプリでコミュニケーションしてくれた機会は他にもありました。タクシーでのことです。
運転手さんが英語でいろいろな話をしてくれ、私たちも英語で返していたところ、彼は、ナビを表示していたスマホに手を伸ばし、LINEを立ち上げました。そして、LINEの中国語→日本語翻訳機能を起動し、中国語で話した内容を逐次、日本語に翻訳して見せてくれたのです。
彼のお父さんが日本語を話せることや、子供たちの進路など、いろいろな話をしてくれました。翻訳結果がときどき意味不明になることもありましたが、「翻訳アプリを使ってまで、私たちと話そうとしてくれている」ということに、台湾の人たちの“おもてなしの心”を感じました。
また筆者は、台湾の鉄道でカメラの忘れ物をしてしまい、駅員さんに相談したのですが、その時も駅員さんは翻訳アプリを使い、音声入力した中国語を日本語に変換して対話してくれました。結局、なくしたカメラは見つかりませんでしたが、iPhone 11で撮った写真がコンデジ以上にきれいだったので、「まあいいか」と、あきらめられました。
QR決済普及度はイマイチ? LINE人気は圧倒的
筆者は旅行前、台湾はQRコード決済が普及しているのではないか、と想像していました。お隣の中国では、屋台でもQRコードで決済できるそうですから、旅行者は現地で多額の現金を両替しなくても、QR決済でおおむね乗り切れると聞いていたからです。
ですが、台湾に行ってみると違いました。QR決済はあまり普及しておらず、屋台はもちろん、店舗を構えた店でも現金決済が基本でした。QR決済ができる店も一部にあり、LINE PayやWeChatPayなどを受け付けていましたが、利用している人はあまり見ず、QR決済の普及度は、日本よりも低い印象でした。
歩きスマホをしている人をほとんど見かけなかったことにも驚きました。歩道でも駅構内でも、歩きながらスマホを見ている人は見当たりませんでした。電車でスマホをしている人も日本ほど多くない。スマホをいじっている人は、LINEでチャットしていたり、ゲームをしている人が多いようでした。
台湾では、LINEが圧倒的に人気なようです。LINEによると、「台湾の人口の9割がLINEを利用している」とのこと。公式キャラクターの「コニー」などのグッズを販売している店もありました。
LINEの力を実感する一方で、Google翻訳の頼りなさも感じました。動物園を訪れた際、スマホで撮影した文字をリアルタイムに翻訳できるGoogleの翻訳アプリを使ってみたのですが、動物の名前などはなかなかうまく翻訳できない。中国語と英語が書いてある場合は、英語を撮影したほうが、翻訳に成功するケースが多かったです。
スマホで世界が「ちょっと狭く」
15年前、初めて台湾に来たときは一人旅で、日本の友人と通信する手段もなく、心細かったのですが、今は、スマホとWi-Fiさえあれば、チャットや通話もできるし、オンラインで地図も見られるし、翻訳アプリを使えば、現地の言葉をリアルタイムに翻訳できる。スマホのおかげで、海外にいても“アウェイ感”をあまり感じずに済むなあ、世界はちょっと狭くなったなあ、と感じました。前に来た時は、台湾から日本の友人に絵はがきを出しましたが、スマホがある旅だと、はがきを出そうという気にはならないなあ……なんてことも思いました。
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