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「子ども1人にPC1台」の狙い 文科省が“標準スペックPC”でさせたいこと(2/2 ページ)

文部科学省が進めているGIGAスクール構想では、小中学生1人につきPC1台を用意する方針を打ち出している。文部科学省は学習用個人PCで子どもたちに何をさせたいのか、具体的な活用例を聞いた。

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プログラミング教育での活用も

 個人PCはプログラミング教育でも使う予定だ。20年4月には小学校でプログラミング教育が必修化する。論理的思考やプログラミング的思考を養うため、算数や理科をはじめとする授業の中で子ども向けプログラミング言語「Scratch」などを教材として使う。

 プログラミング的思考とは、「ある一連の動作を実行するには、どのような動きをどういう順番で行うべきか」と考えることを指す。コーディングは目的ではなく、フローチャートが組み立てられればいいので必ずしもPCを使う必要はないが、文部科学省は「PCを使うことが望ましい」としている。

ビッグデータを活用して個別最適化

 同省によると、個人PCを導入する目的の一つにはビッグデータの活用もあるという。GIGAスクール構想の目標は「子どもたち一人一人に個別最適化」された教育環境の実現だとしている。一人一人にあった教育を施すために注目しているのがAIとビッグデータだ。

 近年では、河合塾や駿台予備校などさまざまな学習塾で“AI教材”が開発されている。児童生徒の学習状況や成績などの情報を基にAIが学習者の得意不得意を分析。学習するべき教材や単元をレコメンドするシステムの導入が徐々に進んでいる。

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AI教材「河合塾One」の概念図

 文部科学省は「(個人PCを)子どもが使っているうちに学習データが蓄積される。これを分析して活用すれば、より高度に個別最適化できる」とし、民間の取り組みに期待を寄せている。

 調べ物や資料作成、プログラミング教育など、これらの活用方法は先進的な学校での事例を例としてあげたものであり、絶対にやらないといけないものではない。

 文部科学省の萩生田光一大臣は、「1人1台端末環境は、もはや令和の時代における学校の『スタンダード』であり、特別なことではない」とし、PCや通信環境の整備を進めていくとしている。一方で、「環境整備は手段であり目的ではない」との考え方も示しており、研修などを通して教職員のIT活用力や指導力の向上にも取り組むという。

 予算通過から間もないが、日本マイクロソフトがGIGAスクール構想に対応したパッケージの提供を発表するなどすでに動きが出ており、各都道府県の対応に注目が集まる。

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