EU、AI規制に関するホワイトペーパーを含むデジタル戦略を発表
欧州連合(EU)が個人データとAIに関する戦略を発表した。圏内の組織でデータを共有することでAIによる革新を進める一方、人権を守るためのルールを策定していく。
欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は2月19日(現地時間)、個人データとAI(人工知能)に関する戦略を発表した。向こう5年間のEUのデジタル戦略の道筋を示すもの。米国の大手IT企業を含む世界中の企業はEU圏内で、この戦略の下に将来発効する新規制に従う必要がある。
欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は発表文で「われわれは欧州のデジタルにおける未来を形成する野心を示した。この戦略はサイバーセキュリティ、重要なインフラストラクチャ、デジタル教育、民主主義、メディアなど、すべてをカバーするものだ。欧州でのデジタルは、オープン、公平、多様、民主で自信に満ちている欧州の長所を反映していく」と語った。また、記者会見では「AIは人々に奉仕するべきであり、常に人々の権利を順守しなければならない」と語った。
Europe Ready for the Digital Ageの責任者で欧州委員会のコミッショナーのマルグレッタ・ヴェスタヤー氏は「EUのすべての市民、企業にデジタル化のメリットを享受する機会を平等に与えたい」と語った。
欧州のデータ戦略の目的は、欧州データ領域の形成。圏内のすべての企業、研究者、行政機関が収集したデータに、すべての人や組織がアクセスできるようにする。そのための新たなルールを策定していく。また、戦略の一環としてデータプラットフォームとAIアプリケーション構築のために約25億ユーロ(約3000億円)を投資することも提案した。
この戦略の一環として公開されたAIに関するホワイトペーパーは、5月19日まで閲覧し、フィードバックを送ることができる。
今後のステップは、年内にすべての企業がEU市場にアクセスするための明確なルールを確立し、オンラインプラットフォームの責任を強化し、基本的権利を保護するためのデジタルサービス法などの追加措置を提示する計画だ。
関連記事
- 「Teslaを含む最先端AI開発組織は規制されるべき」とイーロン・マスク氏
全人類の利益になるデジタル知能の開発を目指して2015年に設立されたOpenAIの変化についてのMIT Technologyの記事を受け、同社を立ち上げたイーロン・マスク氏が、OpenAIはもっと透明性を高くすべきであり、(自身の企業である)Teslaを含むAI開発企業は規制されるべきだとツイートした。 - Apple、Google、Facebookの幹部がEUのAI新イニシアチブ発表前にブリュッセル詣で
EUによるAI関連イニシアチブ立ち上げに先立ち、AlphabetとGoogleのCEO、スンダー・ピチャイ氏やFacebookのマーク・ザッカーバーグCEO、AppleのAI責任者、ジョン・ジャナンドレア氏などが欧州委員会のコミッショナー、マルグレッタ・ヴェスタヤー氏と会談を設けた。 - GoogleとAlphabetのCEO、ピチャイ氏「AIは法による規制が必要」
AlphabetとGoogleのCEOを務めるスンダー・ピチャイ氏が、AIを安全に使うためには国際的な法による規制が必要だとあらためて主張した。 - EU、オンラインプラットフォームの公平性のための新規則で合意 GoogleやAmazonが対象
EUが、AmazonマーケットプレイスやGoogle Playストア、検索エンジンなどを対象とする新規制で合意したと発表した。こうしたオンラインプラットフォームに透明性強化を義務付ける。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.