楽天の“送料無料化”、予定通り一部店舗でスタート
楽天は、ECサイト「楽天市場」で一定額を注文した顧客の送料を無料にする施策を一部店舗で始めた。当初は全店舗一律で送料を無料化する予定だったが、出店者から反発の声が上がったため、対象を「準備が整った一部店舗」に変更していた。
楽天は3月18日、ECサイト「楽天市場」で一定額を注文した顧客の送料を無料にする施策を一部店舗で始めた。同社は当初、全店舗一律で送料を無料化する予定だったが、出店者から反発の声が上がったため、対象を「準備が整った一部店舗」に変更していた。
対象店舗では、1回の注文額が税込3980円以上(宛先が沖縄、離島などの場合を除く)であれば、送料を無料にする。クール便や大型便、酒類の配送などは対象外。
対象店舗で同3980円以上の買い物をした顧客に、通常の5倍の「楽天ポイント」を付与するキャンペーンも行う。付与の上限は3000ポイントで、期間は21日午前9時59分まで。
一律無料化を断念した経緯は?
楽天が送料無料化の施策を発表したのは2019年8月。同社は新規顧客の獲得と売上の増加が見込まれるとしたが、店舗側は送料を自己負担する必要があるため、中〜小規模の店舗を中心に「利益を損ねる」といった批判が噴出した。
これを受け、公正取引委員会は20年2月上旬、独禁法違反の疑いで楽天本社を立ち入り検査し、同月末には緊急停止命令を東京地裁に申し立てた。
こうした中、楽天は3月6日、送料無料化の対象を一部店舗に変更すると発表した。方針転換の理由は、あくまで「新型コロナウイルスの影響」としたが、送料無料化によって収益が悪化した出店者には給付金を出すといった支援策も発表し、出店者に配慮する姿勢を見せた。
楽天が一律無料化を断念したため、公取委は10日、「緊急性が薄れた」として緊急停止命令の申し立てを取り下げた。
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