新型コロナ感染拡大も、正社員のテレワーク実施率は13.2% 「制度が未整備」「集中できない」と懸念の声
新型コロナウイルスの予防策として、テレワークを実施しているビジネスパーソンはどの程度いるのか。パーソル総合研究所が調査結果を発表した。テレワークを実施している人は全体の13.2%で、「集中できない」などと懸念する声が上がった。
新型コロナウイルスの予防策として、テレワークを実施しているビジネスパーソンはどの程度いるのか――。パーソル総合研究所は3月23日、約2万人の正社員を調査した結果を発表した。テレワークを実施している人は全体の13.2%、そうでない人は86.8%で、普段通りオフィスで働く人が大多数を占めた。
勤務先にテレワークを義務付けられている人は3.2%、義務ではないが推奨されている人は18.9%となり、計22.1%が制度・環境上はテレワークを利用できると回答。しかし冒頭の通り、実際のテレワーク実施率は13.2%と下回り、一部の層は制度を使わず出勤していることもうかがえた。
テレワークをしていない人に理由を聞いたところ、トップは「(勤務先の)制度が整備されていない」(41.1%)。2位は「テレワークで行える業務ではない」(39.5%)、3位は「ICT環境が整備されていない」(17.5%)と続くなど、制度面の不備を挙げる人が多かった。
「テレワークをすると業務に支障が出る」(13.5%)、「会社がテレワークに消極的で、実施しにくい」(8.2%)、「テレワークでは集中して作業できない」(4.4%)、「テレワークするための手続きが煩雑」(4.2%)など、運用のしづらさを懸念する声も出ていた。
さらに、テレワークをしていない人のうち、導入を望んでいない人は66.3%で、導入を望んでいる人(33.7%)を上回り、テレワークが必ずしも好意的に捉えられていないことも判明した。
こうした調査結果を踏まえ、パーソル総合研究所は「社内制度やICT環境が対応しきれておらず、テレワークをしたくてもできない従業員も多い。企業には一層の制度・環境の整備が求められる」と提言。
運用上の課題については、「テレワークでは『プロセス』や『努力』といった業務過程が見えにくく、パフォーマンスの差だけが可視化されやすい。仕事の様子が見えにくいため、これまでのような柔軟なジョブ・アサインも困難になる。テレワークの急拡大は、日本の雇用や働き方を変革の岐路へと立たせるだろう」と指摘している。
調査は3月9〜15日にインターネット上で実施。従業員数が10人以上の企業で正社員として働く、全国の20〜59歳の男女2万1448人に意見を聞いた。
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