ヤフー親会社、打倒アマゾン・楽天に“次の一手” ヤマトと組んでEC事業を強化 川邊社長「ナンバーワンになる」(1/2 ページ)
Zホールディングスが、ヤマトホールディングスと業務提携する。「Yahoo!ショッピング」「PayPayモール」で、出店者の受注から出荷までの業務をヤマトHDが代行するサービスを6月30日に始める。出店者の負担を軽減して出品・販売のサイクルを加速し、先行するアマゾンジャパンや楽天に対する競争力を高める。
「eコマース市場でナンバーワンになりたい。当社は万年3位といわれてきたが、2位、1位の背中が近づいてきた」――。ヤフーの親会社であるZホールディングス(HD)の川邊健太郎社長は、3月24日に開いた記者発表会でこう強調した。
ZHDは同日、ヤマトHDと業務提携に向けた基本合意書を締結。ヤフーが運営するECサイト「Yahoo!ショッピング」「PayPayモール」を対象に、従来は出店者が担っていた受注から出荷までの業務をヤマトHDが代行するサービスを6月30日に始めるという。
出店者の負担を軽減して出品・販売のサイクルを加速し、取扱高を拡大することで、先行するアマゾンジャパンや楽天に対する競争力を高める狙いだ。
ヤマトHDとの協業に加えて、両ECサイトから実店舗に送客するサービスを準備するなど、ZHD単独で出店者を支援する取り組みも始める。
ヤマトと組んで2種のサービスを展開
ヤマトHDと組んで提供する出店者向けのサービスは、「フルフィルメントサービス」と「ピック&デリバリーサービス」の2種類。
フルフィルメントサービスでは、商品の保管、受注、ピッキング、梱包、出荷、配送といった、商品の仕入れや販売を除くほぼ全工程をヤマトグループが代行する。ピック&デリバリーサービスでは、発送する商品の準備は出店者側が行うが、ピッキング、梱包、出荷、配送はヤマトグループが担う。
これまでYahoo!ショッピングとPayPayモールでは、出店者が自社の倉庫で商品を保管したり、運輸業者に個別に配送を依頼したりする必要があった。そのため、受注から発送までに工数がかかる場合があり、翌日配送などのサービス面でアマゾンジャパンや楽天に後れを取っていたという。
今回の提携によってこの課題を解消し、消費者への迅速な配送を実現しつつ、出店者の業務効率化やコスト削減を支援することで、ECサービスの強化を図る。将来は、サービス提供によって得たデータを分析し、需要を予測することで、消費が集中しそうなエリアの物流拠点に在庫を事前に移動する施策なども行う。
ヤマトHDの長尾裕社長は「両社のデータを活用して、出店者の効率的な経営を支援し、持続可能なECエコシステムを構築する」と力を込めた。料金体系は現時点では非公開だが、「業務量に応じて配送料を変動制にする」(長尾社長)としている。
ZHDは今後、両サービスを契約した出店者の商品を購入したユーザーに、送料相当額の「PayPayボーナスライト」を付与し、送料を実質的に無料とするキャンペーンも行う(12月で終了予定)。キャンペーンに要する費用は、出店者側では負担しない。恒常的に送料を無料化する予定はないという。
送料無料化を巡っては、競合する楽天が出店者への費用負担と一律導入を課して批判を浴びたこともあり(現在は条件を緩和)、ZHDは出店者との関係維持に配慮したとみられる。
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