ヤフー親会社、打倒アマゾン・楽天に“次の一手” ヤマトと組んでEC事業を強化 川邊社長「ナンバーワンになる」(2/2 ページ)
Zホールディングスが、ヤマトホールディングスと業務提携する。「Yahoo!ショッピング」「PayPayモール」で、出店者の受注から出荷までの業務をヤマトHDが代行するサービスを6月30日に始める。出店者の負担を軽減して出品・販売のサイクルを加速し、先行するアマゾンジャパンや楽天に対する競争力を高める。
ネットから実店舗への送客も
ヤマトHDとの協業だけでなく、自社グループで出店者を支援する取り組みも進める。
具体的には、今春からPayPayモールの商品ページ上に、EC向けの在庫数に加えて実店舗での在庫数を表示する。実店舗に在庫がある場合は、ユーザーがPayPayモール上で決済し、実店舗の専用ボックスで商品を受け取れる仕組みにする。これにより、出店者はEC向けの在庫が売り切れた場合の機会損失を抑えられ、ユーザーは配達を待つ手間を解消できるという。
すでに「ヤマダ電機 PayPayモール店」など一部のストアでは、実店舗の在庫の有無を表示するサービスを開始済み。今後は傘下のZOZOが運営する「ZOZOTOWN PayPayモール店」に展開し、さまざまなアパレルブランドの在庫情報を提供するという。実店舗での受け取りサービスの開始は秋ごろの予定。
ZHDは、ECサイトから実店舗に送客する施策を「X(クロス)ショッピング」と名付け、積極的に進める方針だ。ZHDの小澤隆生専務は「実店舗に商品を受け取りに来たユーザーが“ついで買い”をする可能性もある」とし、「(販売形態を)インターネットに閉じるのではなく、垣根をなくしたい」と強調した。
自社のECシステムを開放
これに加え、ZHDはPayPayモールやYahoo!ショッピングで使用している検索・決済システムを「XS(クロスショッピング)エンジン」と命名し、外部のEC事業者に提供する施策も始める。現時点では開始時期などの詳細は非公開だが、PayPayによる決済システム、機械学習を活用したレコメンド機能、前述した実店舗の在庫表示機能も外部向けに開放するという。
まずは、傘下のアスクルのECサイト「LOHACO」にXSエンジンを提供し、仕組みの改善を図る予定。外部向けの料金体系は「SIerへの発注とは比べものにならないほど安くしたい」(小澤専務)としている。
ZHDの川邊社長によると、今回発表した施策は「eコマース革命の第2弾」。旧ヤフーが2013年に出店時の初期費用を無料化し、取扱高を大きく伸ばしたことに次ぐ、大規模なテコ入れだという。
ZHDは以前から、決済・コマース事業に注力して国内外のプラットフォーマーに対抗する方針を掲げており、“第2弾”によって実現に近づける構えだ。同社長は「欲しいモノが欲しい時に手に入る世界を目指す」と意気込んだ。
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