国内IaaS・PaaS市場規模、20年に1兆円突破へ 金融業や公共機関でさらに普及の見通し
矢野経済研究所が、国内IaaS・PaaS市場規模に関する調査結果を発表。2019年は前年同期比34.5%増の7800億円に伸びた。市場規模は今後も拡大し、20年に1兆円、23年に1兆6700億円に達するという。
矢野経済研究所は5月12日、2019年の国内IaaS・PaaS市場規模(事業者売上高ベース)が、前年比34.5%増の7800億円に伸びたとの調査結果を発表した。増加要因は、コンテナやマイクロサービスなどの需要が高まったため。今後も拡大が続き、市場規模は20年に1兆円、23年に1兆6700億円に達すると予測している。
19年は上記の他、これまでクラウド活用が進んでいなかった金融業でもIaaS・PaaSの活用が加速。大手保険会社、証券会社、銀行などがAmazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azure(Azure)を導入した他、勘定系システムの基盤にパブリッククラウドを利用する企業が増えたことから、市場規模の拡大につながったとしている。
クラウドサービスの進化を受け、20年以降も、これまでセキュリティの観点からクラウド活用を敬遠していたユーザー企業での利用が進み、市場規模が拡大するとみている。
また、政府が「クラウド・バイ・デフォルト原則」(政府の情報システムを整備する際に、クラウドサービスの利用を第一候補として検討する方針)を打ち出している影響で、公共機関でのクラウド導入もさらに進むと予測している。
ただし、公共機関は一般企業よりもサービスの比較・検討などに要する時間が長いため、「理解あるパートナーの確保が(普及の)ポイントになる」という。
同社は、国内市場におけるベンダーの競争関係にも言及し、「20年以降は、国内でもクラウド内のデータ管理が注目され、データ管理に関するノウハウを持ったクラウドベンダーが台頭していく」と結論付けている。
調査は20年1〜4月に実施。国内クラウドベンダーなどを対象に、電話、メール、郵送アンケート、研究員による面談によって市場環境を調査した。今回の調査・予測では、新型コロナウイルスの影響を考慮していない。
関連記事
- 海外で進む「オンプレミス回帰」 その背景に何があるのか
2006年に「クラウド」という概念が登場した後、パブリッククラウドは多くの企業に普及した。だが昨今はその流れに逆行し、海外を中心にオンプレミスに回帰する現象が起きているという。その理由とは――。 - Zoom、ユーザー急増への対応でOracle Cloudへインフラを拡張 AWS、Azureと併用
ZoomがOracle Cloudを導入し、インフラを拡張。AWS、Azureと併用する。Zoomはわずか4カ月で利用者が1000万から3億超へ増えるなど、ユーザーが急増している。 - NTTデータが政府系クラウドに本腰、AWSとの戦い方は? 武器は“マルチクラウド指向”のマネージドサービス
NTTデータが政府系クラウド事業に本格参入。AWSが先行する同分野で、これからどう戦っていくのか。担当者に話を聞いた。 - AWSジャパン、政府や地方自治体のクラウド化に照準 公共領域でのパートナー連携を強化し“首位固め”
AWSジャパンが2020年のパートナー戦略を発表。今年は公共領域を担当するパートナー企業の拡大に注力するという。これにより、中央省庁、地方自治体、教育機関、医療機関などへの拡販を目指す。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.