AIを全社導入した日本企業は16.0% 19年から微増 製造業の品質管理などで活用進む
IDC Japanが、企業のAI利用に関する調査結果を発表。企業のAI導入率はおおむね上昇していた。最多の活用事例は品質管理。IT環境の複雑さなどを導入時の課題とする企業が増えたことも判明した。
IT専門調査会社のIDC Japanは5月13日、日本企業のAI活用状況に関する調査結果を発表した。AIを全社的に利用している企業は前年比3.7ポイント増の16.0%、AIを利用していない企業は同4ポイント減の8.2%で、同社は「企業のAI導入率はおおむね上昇している」とみている。
また、全社での利用には至っていないが、部門単位で利用している企業、PoC(概念実証)中の企業、導入に向けて調査中の企業などもみられた。
最多の用途は品質管理
AIを導入済みの企業に用途を聞いたところ、最多だったのは品質管理(15%)。基準を満たさない製品を検出する目的などで、製造業での利用が進んでいるという。
以下、「ITオートメーション」(13.4%)、「高度なプロセスオートメーション」「自動顧客サービスエージェント」(ともに10.0%)と続いた。
回答があった用途は上記の他、貨物管理、不正行為の分析、車両の管理、診断や治療、営業の自動化など計16種類。同社は「DX(デジタルトランスフォーメーション)による企業変革を通して、AIが広い分野で採用された結果」と推測している。
AI導入時の課題については「IT環境が複雑になる」(17.0%、前年比2.8ポイント増)、「スキルと人材が不足している」(11.5%、同7.3ポイント増)といった意見が出た。
同社は「AIの活用が企業全体で進み、事業活動とより深く関係したことで、AIの継続利用に関する課題が浮き彫りになった」としている。
調査は2020年3月に実施。経営層やIT管理者にアンケートを行い、524社から有効回答を得た。
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