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AppleとGoogleのAPI採用新型コロナ通知アプリ開発は今、どの段階にあるのか

AppleとGoogleが新型コロナの曝露(感染者との接触)通知アプリのためのAPIを公開しました。日本では厚生労働省がiPhoneとAndroid端末向けのアプリをそれぞれのアプリストアで公開する予定です。

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 GoogleとAppleが、予告通り5月中(5月20日)に曝(ばく)露通知アプリのAPIを公開しました。Appleさんは同日公開の「iOS 13.5」で、Bluetooth識別子を他のiPhoneとAndroidスマートフォンとやり取りする機能(以下、“Bluetooth識別子交換機能”)を追加しました。[設定]→[プライバシー]→[Bluetooth]で確認できます。

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iOS 13.5で追加になった「COVID-19接触のログ記録」

 まだオンにできませんが、ユーザーが住んでいる地域の“政府あるいは公衆衛生当局”がこのAPI採用の曝露通知アプリを公開したら、オンにできるようになると思います。日本の場合は厚生労働省が開発中です。

 ちなみに、GoogleさんはまだBluetooth識別子交換機能を追加していません。こちらはOSのアップデートではなく、「Google Play開発者サービス」のアップデートで行う予定です。1週間以内に開始する見込みだそうです。

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謎アプリとして親しまれている(?)「Google Play開発者サービス」

 Android 6(マシュマロ)以降対応ということで、だいたい9割のアクティブなAndroidスマートフォンで使えるそうです。また、OEM各社とも協力しているそうなので、Android OSのアップデートみたいなフラグメンテーション(Pixelシリーズには来たけどGalaxyやXperiaはまだ、のような)になることはなさそうです。

 曝露通知アプリ(日本政府の関連機関は「接触確認アプリ」と呼んでます)のだいたいのしくみなどについては、4月のGoogleさんこちらの記事を、どんなユーザーインタフェースになるのかについてはこちらの記事を見てみてください。また、Androidでの使い方についての公式ヘルプページも日本語化されています。

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日本政府の関連チームの資料にある「接触確認アプリ」のしくみ(画像はCode for Japan作成)

 AppleとGoogleのエンジニアさんが21日に、また早口で実施した説明によると、APIの公開前から世界の公衆衛生当局やセキュリティ専門家、人権団体などとみっちり意見を交換し、各方面からのフィードバックを取り入れつつブラッシュアップしたそうです。

 特にAndroidの場合、「Bluetoothオンにしてるとバッテリーくうから無線イヤフォンでもしてない限り基本オフだよなぁ」という習慣(?)を変えてもらうために、少なくともAPIはバッテリー消費を最小限にするよう改善したそうです。プライバシー関連も、批判的な専門家の指摘を地道にクリアしていき、少なくとも素人の私が説明を読む限り、ものすごくよく考えられた、誰にも(政府にも)悪さができそうにない造りになっています。

 プライバシーを尊重するため、ユーザーがオプトインしない限り有効にならない仕様にしたことについて「それじゃあ普及しないんでは?」という声もありますが、共同声明の「このシステムの成功は、ユーザーが使ってくれるかどうかにかかっている。われわれは強力なプライバシー保護が、システム利用を促進するための最善のアプローチだと考えている」という台詞にはぐっときます。私はこの心意気を尊重してオンにします。

 実際にアプリを提供するのはAppleでもGoogleでもなく、日本の場合は厚生労働省。

 日本政府は新型コロナウイルス感染症対策テックチーム「Anti-Covid-19 Tech Team」を結成しており、このチームが曝露通知アプリ(接触確認アプリ)を担当することになっています。既にアプリの概要図も公開しています。

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Anti-Covid-19 Tech Teamが公開しているアプリの概念図

 このチームはAppleとGoogleが曝露通知について発表する以前に結成されており、当初はシンガポールに倣って位置情報も集めてしまう接触追跡アプリを開発する予定でした。

 でも、5月8日にAppleとGoogleのAPIを利用することに軌道修正しました。このチームの会合には、エンジニアの民間団体コード・フォー・ジャパンなど複数の団体が参加しています。最終的にどこが開発を請け負うかはまだ分かりませんが、ユーザーのうっかりにつけ込んで販促メールを送りつけてくるような企業ではないことを祈ります。

 もっとも、アプリはAppleのApp StoreとGoogleのGoogle Playストアで公開されるわけで、そのためには両社の厳しいレビューをパスする必要があり、政府や下請け企業がこっそりデータを集めて国民の監視や広告に悪用したりすることは、まずできないでしょう。

 日本のアプリは6月公開のようですが、Googleによると、既に複数の国からGoogle Playストアにアプリの登録申請があったそうです。早い国では5月中にアプリが公開されるかもしれません。

 AppleとGoogleは具体的な国名は挙げていませんが、20日の段階で22カ国と米国の複数の州政府がAPIにアクセスしていると言ってました。米国で採用を発表した州については米9TO5Macが一覧表を更新していきます(20日現在はまだ50州中4州)。

 AppleもGoogleも、これだけで感染経路を把握できるとは思っていません。あくまでも、公衆衛生当局が現在実施している聞き取りでの感染経路追跡の補完と位置づけています。

 また、技術的なサポートは可能な限りするけれど、口は出さないし、アプリの宣伝をしたりはしないそうです。ユーザーにアプリの存在を知らしめるには派手にキャンペーンでもした方がいいかもと思いますが、そうするとお上(厚生労働省)のアプリだということがちゃんと伝わらないでしょう。厚生労働省とLINEが実施した全国調査もLINEは喧伝しませんでしたが、メディアが積極的に報道し、SNSで広まることで成果が出ました。曝露通知アプリの認知にも、メディアが役割を果たせそうです。

 GoogleとAppleのエンジニアさんたち(早口すぎて私には完全には聞き取れませんでしたが)は、欲得ではなく、自分たちの力が世界の役に立つことに意義を感じているんだろうなぁという雰囲気がびんびん伝わってきました。WIREDに掲載されたスンダー・ピチャイCEOのインタビューによると、この取り組みはボトムアップというか、GoogleとAppleのそれぞれのエンジニアがほぼ同時に思い立ち、互いに手を差し伸べ合ったのがスタートだったようです。この壮大な取り組みに一口乗ってみようではありませんか。

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