国内の個人向けクラウドストレージ市場規模、20年度に800億円突破へ 写真、動画、音楽などの保存ニーズが拡大
ICT総研が、国内の個人向けクラウドストレージ市場に関する調査結果を発表。2019年度の市場規模は776億円で、20年度は805億円に拡大する見込み。消費者がスマートフォンやPCに保存する写真、動画、音楽などのデータ量が増加傾向にあるため。
調査会社のICT総研は6月8日、国内の個人向けクラウドストレージ市場規模(有料サービスの売上高ベース)が、2019年度は前年度比6.0%増の776億円だったとの調査結果を発表した。消費者がスマートフォンやPCに保存する写真、動画、音楽などのデータ量が増加傾向にあるため。今後も拡大が続き、市場規模は20年度に805億円、21年度に832億円、22年度に857億円と順調に拡大する見込みという。
国内市場で個人利用者が最も多いクラウドストレージは「Google Drive」(22.7%)。2位は「iCloud drive」(19.2%)、3位は「Dropbox」(13.0%)。4位は「Microsoft OneDrive」(12.7%)、5位は「Evernote」(5.6%)と続いた。法人ユーザーが多い「Box」は7位だった。
ICT総研は「多くの個人ユーザーは複数のサービスを併用して使い分けているが、今後はサービスの取捨選択が進み、大手事業者のシェアがさらに高まると思われる」と予測している。
クラウドストレージサービスの多くは、約5〜15GBまで無料で利用でき、上限を超えると有料サービスに移行する仕組みを用いている。この点について、ICT総研がユーザーの利用形態を調べた結果、無料サービス利用者は75.4%、有料サービス利用者は14.2%。「分からない」は10.4%だった。
現在は無料サービスを使っており、有料サービスへの移行を検討している人は全体の11.5%だった。
同社は「開始当初は無料プランで利用を始めるユーザーが大半だが、その後、保存容量が増えると有料サービスに移行するという使い方が一般的。有料サービス利用者は年々増加する傾向にあるようだ」とみている。
調査は5月8〜13日にWebアンケート形式で実施。インターネットユーザー4408人に意見を聞いた。クラウドストレージサービス運営企業への調査なども行った。
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