「5Gへの移行進まず焦っている」 KDDI、1Qはコロナ禍で5Gスマホ売れず 高橋社長が苦笑い
KDDIが、2021年3月期第1四半期連結決算を発表。コロナ禍の影響で個人向けau端末の販売台数が大幅に減った。5Gスマホの売れ行きも伸び悩み、高橋誠社長は「4Gから5Gの移行が思ったように進まず焦っている」としている。
「4Gから5Gの移行が思ったように進まず焦っている」「3月から5Gに力を入れていたが、(コロナ禍で)出ばなをくじかれた」──KDDIの高橋誠社長は7月31日に開いた決算会見で苦笑いした。
コロナ禍の影響で、20年3月期第1四半期(19年4〜6月)には195万台あった個人向けau端末の販売台数が、21年同期(20年4〜6月)には150万台に減少。5G対応スマートフォンの販売台数も伸び悩んだため、当初想定していた進捗(しんちょく)に遅れが出ているという。
KDDIが5G通信の商用サービスを始めたのは3月。21年3月期終了時までに二百数十万台の5G対応端末を販売することを目標としており、当初は3〜4月にイベントなどの施策を展開して普及を推進する予定だった。
しかし、コロナ禍の影響で施策が全てキャンセルになったため、秋を目安に再スタートするという。高橋社長によれば、au端末の販売台数は既に回復傾向にあるため「関連事業にコストをかけ、第2四半期、第3四半期で勢いを取り戻す」としている。
一方で、5G基地局の建設工事は順調としている。ソフトバンクと立ち上げた合弁会社「5G JAPAN」による基地局の整備や、4Gに割り当てられた周波数帯の転用が円滑に進んでいるため「かなりアクセラレートしてきている」(高橋社長)という。
第1四半期は減収増益 ライフデザイン領域などが好調
KDDIが同日に発表した21年3月期第1四半期連結決算は、売上高が1兆2427億円(前年同期比0.3%減)、営業利益が2907億円(同13.7%増)、純利益が1823億円(同12.2%増)と減収増益だった。個人向けモバイル端末の販売台数が落ち込んだため減収したが、それに伴い販売コストも減ったことで増益になったという。
セグメント別では、個人向けの金融事業や通信事業などを含む「パーソナルセグメント」の業績は、売上高が1兆739億円(前年同期比1.1%減)、営業利益が2432億円(同11.6%増)と減収増益だった。
同セグメントの中では、インフラ・金融などの「ライフデザイン領域」が好調。コロナ禍の影響で顧客の外出が減り、電気の使用量が増えたため、電気サービス「auでんき」のARPA(1アカウント当たりの平均売上)が640円(前年同期は490円)に上がった。有料会員サービス「auスマートパスプレミアム」も成長しており、19年6月には約781万人だった会員数が「足元では1000万人を突破した」(高橋社長)という。
法人向け通信サービスなどの「ビジネスセグメント」は、売上が2339億円(同5.8%増)、営業利益が457億円(同23.2%増)と増収増益だった。テレワーク需要により、Web会議ツール「Cisco Webex with KDDI」やリモート接続サービス「KDDI Flex Remote Access」の申込数が増えたためという。
「第2四半期以降の(コロナ禍の)業績影響を慎重に精査する」(高橋社長)として、21年3月期の通期予想は売上高を0.2%増の5兆2500億円、営業利益を0.5%増の1兆300億円、最終利益を横ばいの6400億円のまま据え置く。4〜6月期終了時点での進捗率は、売上高が23.7%、営業利益が28.2%、最終利益が28.5%。
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