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シャープ、青果に優しい保冷剤を開発 液晶技術で凝固点と融点を自在にコントロール
シャープが青果配送用の保冷剤を開発したと発表した。液晶技術を応用して作った12度で溶ける氷のような素材を採用。CO2排出量や緩衝材などを削減する。
シャープは8月3日、液晶技術を応用して青果配送用の保冷剤を開発したと発表した。0度をキープする従来の保冷剤とは違い、12度で溶ける氷のような素材を採用。保冷剤を凍らせるのに必要なエネルギーや、青果の傷みを防ぐ緩衝材などを削減できる。
生鮮食品の配送などを手掛けるパルシステム生活協同組合連合会(生協)では例年4月から11月にかけて、野菜や果物を利用者に配送する際に0度の保冷剤を使っている。しかし、0度の保冷剤が青果に直接触れると野菜が凍ったり果物が変色するなどの問題が出るため、保冷剤と青果の間に緩衝材を挟む必要があった。
シャープが開発した保冷剤「適温蓄冷材」は、5度で凍り12度で溶ける素材。同社が液晶の研究を通して培った、物質が凍る温度と溶ける温度をマイナス24度から28度の間で自在にコントロールできる技術を応用した。
パルシステムではこれまで、保冷剤の凍結は強力な冷却器を使って18時間掛かっていた。適温蓄冷材を使うと凍結時間を6時間短縮できるという。同社は、消費電力量を40%、CO2排出量を2000トン削減できると試算している。保冷できる時間も長くなっており、夜に行っていた青果の仕分け作業を午前中でも行えるようになるとしている。
パルシステムは、物流機器の販売などを手掛けるタニックス(東京都江東区)と共同で適温蓄冷材を作った新配送システムを構築し、7月20日から運用を始めている。
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