「特務機関NERV防災アプリ」、運用費は年間6000万円 収益化に向け“サポーターズクラブ”設立
セキュリティ企業のゲヒルンは、自然災害関連の情報や防災気象情報などをユーザーの位置情報に基づいて配信するスマートフォン向け「特務機関NERV防災アプリ」(iOS/Android)に月額制の会員制度「サポーターズクラブ」を設立したと発表した。
セキュリティ企業のゲヒルンは9月1日、自然災害関連の情報や防災気象情報などをユーザーの位置情報に基づいて配信するスマートフォン向け「特務機関NERV防災アプリ」(iOS/Android)に月額制の会員制度「サポーターズクラブ」を設立したと発表した。新機能の早期提供や会員限定コンテンツなどを用意する。年間6000万円の支出がある防災アプリ事業の収益化を目指す。
月額250円(税込、以下同様)のプランでは、通知を受け取る地点数を従来の3点から6点に増やす他、新機能をいち早く利用できる「アーリーアクセス」、サポーターズクラブ会員であることを示す「デジタル会員証」のアプリ内表示機能を提供する。アーリーアクセスで利用できる機能は、2〜3カ月後に全ユーザーに開放する。アーリーアクセスの第1弾では、地震の初期微動(P波)と主要動(S波)の現在地への到達予想時間をカウントダウンする機能を公開する。
月額480円のプランではこれらに加え、アプリ開発の裏側や防災に貢献する活動の取り組みなどを紹介する限定コンテンツを提供する。
ゲヒルンは有料サービスを始めた背景として「開発と運営に当たり、気象業務支援センターなどさまざまな機関との回線費用やクラウドの設備費、人件費などが掛かっており、年間で6000万円ほど支出している」と説明する。現状は別事業の収益を当てて賄っている赤字状態のため、独立採算に向けて収益化を検討したという。
収益化の方法に月額制のサポーターズクラブを採用した理由について、「私たちは本アプリを『あらゆる人にあまねく情報を届ける』というテーマで作っており、課金ユーザーだけが使用できる機能を実装するのはアプリの理念に反する。アプリ内の広告表示は災害が起きたときに収益が上がる仕組みになり、防災アプリが目指すことと矛盾する」(同社)とした上で、「このアプリと開発チームを大切に思い、サポートしてくれるファンとともにアプリを成長させていこうという結論になった」としている。
特務機関NERV防災アプリは2019年9月に提供を始めたアプリ。「エヴァンゲリオン」シリーズを製作するカラーの協力を受け、エヴァのデザインをアプリに取り込んでいる。バリアフリーに配慮し、視認性の高いフォントや色覚に異常がある人でも見やすい配色を採用。音声読み上げにも対応し、アクセシビリティーを重視している。配信開始から1年で、ダウンロード数は82万を超えたとしている。
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