米情報長官、イランとロシアが米国の有権者情報を盗み、悪用したと発表
米国家情報長官は、イランとロシアが米選挙制度の信頼を損なう目的で有権者登録情報を窃取したと発表。FBIとCISAは翌日、ロシアは遅くとも9月から米政府機関をサイバー攻撃の標的にしていると説明した。
米中央情報局(CIA)など情報機関を統括する国家情報長官のジョン・ラトクリフ氏は10月21日(現地時間)に開いた記者会見で、イランとロシアが、米国の選挙制度の信頼を損なうために使用できる有権者登録情報を窃取したと語った。
同氏によると、イランは今週、全米の有権者に、有権者は米大統領選挙で複数回投票できると説明する動画を含むメールを送ったという。ラトクリフ氏は、メールはトランプ大統領に損害を与えるように設計されていたと語った。
米連邦捜査局(FBI)のクリス・レイ長官は「われわれは選挙への外国からの干渉や、投票の神聖さを脅かすような犯罪行為を容認するつもりはない」と語った。
FBIと米国土安全保障省サイバーセキュリティおよびインフラストラクチャー安全保障局(CISA)は翌22日、サイバーセキュリティアドバイザリを公開し、ロシアは遅くとも9月から米政府機関をサイバー攻撃の標的にしていると説明した。
アドバイザリによると、ロシア政府の支援を受けるハッカー集団が、政府当局や航空関連のネットワークへの侵入を試み、10月1日現在で数なくとも2つのサーバからデータを窃取したという。
FBIとCISAは、この攻撃者が航空、教育、選挙、政府の活動を意図的に妨害したことを示す情報はこれまでのところはないとしているが、今後、米国に影響を与える可能性があるという。
「選挙データの整合性が損なわれたという証拠はこれまでのところはない」としている。
米財務省は同日、米国の選挙に影響を与えようとしたイランの行為を特定し、制裁したと発表した。
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