クラウドストレージ各社も“脱はんこ”に熱視線 テレワークの課題は「押印・業務可視化」 Dropbox調査
Dropbox Japanが「書類への押印」「チームメンバーの業務の可視化」などがテレワークの普及を妨げているという調査結果を発表。“脱はんこ”に向けた連携サービスやソリューションに力を入れる方針を明かした。
「書類への押印」「チームメンバーの業務の可視化」がテレワークの普及を妨げている――Dropbox Japanはこのほど、ソフトバンクが実施したオンラインイベント「SoftBank World 2020」でこんな調査結果を明らかにした。同社を始めとする法人向けクラウドストレージ提供各社は、“脱はんこ”に向けた連携サービスに注力している。
調査は、緊急事態宣言中の5月11〜12日にネット上で実施。22〜69歳のビジネスパーソン1000人に現在の働き方を聞いた。その結果「テレワークを実施している」と答えたのは全体の40.2%、「テレワークを実施していない」と回答したのは59.8%だった。テレワークを実施している人を対象に頻度を尋ねたところ「週に2日以下」が34.3%、「週に5日以上」が34.1%、「週に3〜4日」が31.6%だった。
テレワークの頻度が週5日に満たなかった人に要因を聞いたところ、35%以上が「印鑑を押す書類があった」、30%以上が「チームメンバーの業務・進捗管理の可視化に課題があった」と回答。“はんこ出社”を余儀なくされたり、リモートでのマネジメントに戸惑ったりしたとの意見が出た。
緊急事態宣言中にテレワークを行わなかった人は、「テレワークできる業務がまったくない」(54%)、「家と職場の線引きができず、気分転換ができない」(20.7%)、「環境の整備が間に合わない」(15.7%)などを理由に挙げた。
“はんこ出社”をなくすサービスなどに注力
こうした調査結果を受け、Dropbox Japanは今後、押印やマネジメントの負担を解消するサービスやソリューションの提供や開発に力を入れる。
押印については、米Dropboxが2019年に買収した電子サインサービス「HelloSign」を拡販する。20年9月に日本語版をリリースし、現在は法人向けクラウドストレージサービス「Dropbox Business」との連携を進めているという。
Dropboxと競合する米Boxや米Microsoftも、電子署名大手の米DocuSignと提携して同様の機能を提供している。コロナ禍の後押しもあり、従業員同士のコラボレーション機能を売りとするクラウドストレージ提供各社は軒並みオンラインによる電子署名機能を強化する方針だ。
Dropbox Japanの玉利裕重さん(パートナー事業部長)は「電子サインのメリットとして、対外的には契約業務のスピードアップ、セキュリティ向上、契約コストの削減が挙げられる。社内的にはワークフローの効率化やBCP強化、リモートワークの促進などがある」とし、調査で明らかになった課題を解決できるとした。
リモートワークにおける「チームメンバーの業務・進捗管理」の効率化に向けては、離れた場所にいるメンバーが「Microsoft Office」のドキュメントなどを共同編集できるツール「Dropbox Spaces」、タスク管理機能やコメント機能を持つ文書作成ツール「Dropbox Paper」の提供に力を入れていくという。
Dropbox自身もテレワークを推進しているといい、玉利さんは「オンラインで従業員間、コミュニティー間の交流を深める試みを進めている。今後はこれらで得た経験や知見を、ツールキットとして広く公開していく」とした。
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