金融庁、JPXと東証に業務改善命令 再発防止や責任の所在の明確化など要求 10月のシステム障害で
東京証券取引所(東証)で発生したシステム障害を巡り、金融庁は11月30日、対策が不十分だったとして日本取引所(JPX)と東証に業務改善命令を出した。
東京証券取引所(東証)で発生したシステム障害を巡り、金融庁は11月30日、対策が不十分だったとして日本取引所(JPX)と東証に業務改善命令を出した。
金融庁はシステムの不備を把握していなかったことや、取引再開時のルールが整備されていなかったことを問題視。東証らに対し、再発防止策の迅速な実施や市場開設者としての責任の所在の明確化などを求めた。また、金融庁への定期的な報告も要求している。
金融庁はこれまで東証に5回の立ち入り検査を行っており、東証は3回の業務改善命令を受けている。このうち2回がシステム障害に関する命令で、それぞれ2005年と12年に処分を受けた。
金融庁は東証らに対し「18年10月のシステム障害の発生を契機に各種の対応策を講じてきたにもかかわらず、再びシステム障害が発生し、取引開始から取引時間が終了するまでの間、全ての取引が停止に至ったことは、金融商品取引所に対する投資者などの信頼を著しく損なうものだ」とコメントしている。
東証では10月1日にシステム障害が発生。富士通製の株式売買システム「arrowhead」(アローヘッド)の共有ディスク装置(NAS)1号機でトラブルが発生したが、2号機への自動切り替えが行われず、全株式の売買を終日停止。
その後の調査の結果、富士通のマニュアルの不備で自動切り替え機能がオフになっていたことや、東証が切り替えのテストを実施していなかったことが判明した。
これを受け、金融庁は10月2日に東証らに対して報告書の提出を要求。16日の提出後、内容を精査していた。
関連記事
- 東証システム障害、金融庁が立ち入り検査 改善命令なら8年ぶり
東京証券取引所(東証)で10月1日に発生したシステム障害を巡り、金融庁は東証への立ち入り検査を始めた。システム障害の発生原因について現地で詳しく検証する。検査結果を踏まえ、業務改善命令などの行政処分を検討する。 - 東証システム障害はマニュアルの不備 富士通「確認が不十分だった」 関係役員の処分を検討
東証で発生したシステム障害について、富士通が製品マニュアルに不備があったと説明。製品仕様とマニュアル内容を再確認し、再発防止に努めるという。役員の処分は取締役会で検討する。 - 自動バックアップ、5年間オフのまま 東証システム障害、富士通のマニュアルに不備
東京証券取引所(東証)はシステム障害によって発生した株式の終日売買停止について、原因の詳細を発表。マニュアルの不備で、バックアップ機への自動切り替えが5年間オフになっていたことが分かった。10月中に証券会社らと協議会を立ち上げ、再発防止に努める。 - 富士通、東証のシステム障害で謝罪 「原因究明、再発防止に取り組む」
10月1日に東京証券取引所(東証)で発生したシステム障害の影響で国内の主要株式市場が終日取引停止となった件で、システム開発元の富士通が謝罪。同社の時田隆仁社長は「原因究明、再発防止に取り組んでいく」と述べた。 - 東証、障害の原因を特定 「自動切り替えできない設定値になっていた」
東証の全取引がまる1日停止した、「arrowhead」の障害。ストレージ内でメモリ故障が起き、サブ機にも切り替わらなかった。メモリ故障による障害が起きた際、自動切り替えできない設定値になっていたという。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.