東証システム障害はマニュアルの不備 富士通「確認が不十分だった」 関係役員の処分を検討
東証で発生したシステム障害について、富士通が製品マニュアルに不備があったと説明。製品仕様とマニュアル内容を再確認し、再発防止に努めるという。役員の処分は取締役会で検討する。
株式売買システム「arrowhead」の不具合が原因で10月1日に発生した東京証券取引所のシステム障害を巡って、機器を納入していた富士通は19日、製品マニュアルに不備があったとして謝罪した。今後は関係役員の処分を検討し、社長直轄の組織で再発防止に取り組むという。
障害の原因について富士通は「マニュアルの記載と実際の仕様の齟齬(そご)があった」と説明。マニュアルには「メモリ故障などが発生した場合は、必ず自動切替が行われる」との記載があったが、実際は自動で切り替わらない仕様となっていたという。
OEM先の米国企業が製品の仕様を変更した際、富士通がマニュアルの記載が変更されていないことに気付かず、仕様の変更も検知できなかったとしている。富士通は「当社の試験・確認が不十分だった」と陳謝した。
メモリ部品が故障した原因は、事前にOEMベンダーが故障部品の診断を行っているとして「ロット障害ではなく、偶発的な故障だった」と説明した。
富士通は再発の防止に向け、製品の仕様とマニュアルに記載されている内容を再確認する他、OEM先との連携を強化し、仕様の変更に対応する。同様の事態が発生しないよう、同じ機種の製品を納入している取引先の点検も進める。
富士通は役員の処分について取締役会で検討する方針も明らかにした。取締役会の日程は未定。同社の担当者は「今回の事態を厳粛に受け止める」とした上で、処分については「関係役員や本部長、事業部長など、どのレベルまで含むか検討中」としている。
再発防止に向け、今後は全社的にシステムの再点検を行う。社長直轄の組織でプロセスの有効性を監視するなど、品質保証の体制も強化する。
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