Xiaomi、Huawei、OPPO――スマホメーカーがスマート家電に“進撃” 中国で何が起きているのか(1/2 ページ)
中国産スマートフォンメーカーが、中国を中心に、スマート家電領域に力を入れている。その筆頭格がXiaomiだ。各社の戦略と今後の展望を、中国のIT事情に詳しいライターの山谷剛史氏が解説する。
中国でシェアを獲得している中国産スマートフォンメーカーには、日本にも進出しているHuawei、Xiaomi、OPPO、そして日本には未進出のVivoとHonorの5社がある。このうちHonorは、もともとはHuawei傘下のブランドだったが、Huaweiが「智信新信息技術」という会社に売却し、今は別会社となっている。これらの企業に対して、スマホやタブレット専門のメーカーだという印象を持つ読者が多いかもしれないが、実は中国を中心に、スマート家電にも積極的に進出している。
中でも、スマートスピーカーやスマートテレビなどに注力し、人気を得ているのがXiaomiだ。中国で流行している巨大ショッピングモールに足を運んだ経験がある読者がいれば、スマホに加えてスマートホーム製品やスマートテレビなどが多数売られているXiaomiの専門店「小米之家」を見たことがあるかもしれない。
Xiaomiは中国だけではなく、インドなどの諸外国にも小米之家を展開している。同社製の格安スマートテレビはインドなどでも人気で、ある程度受け入れられているという。
家電系スタートアップに投資する「Xiaomiエコシステム」とは
Xiaomiのスマート製品は、小米之家で取り扱っているものだけが全てではない。スマートウォッチ「華米」、スマートLEDライト「Yeelight」といった小物や、傘下企業の「雲米」が開発する白物家電・キッチン家電など無数にある。雲米はディスプレイ付きのスマート冷蔵庫や、ハンドジェスチャーで操作できるスマートスクリーンなども展開している。
中国のECサイト「淘宝」「天猫」「京東」などでは、Xiaomiのスマートネットワークで利用できる家電製品が数多く見つかるだろう。これらの中には、Xiaomi自身が作ったものだけでなく、雲米のようにXiaomiが投資する家電系スタートアップが開発したものも多い。Xiaomiはこのように、投資先にスマート家電の開発を任せる仕組みを「Xiaomiエコシステム」(Mi Ecosystem)と呼んでいる。
中国市場では、たとえ技術力があっても、マイナー企業が家電ブランドで大成功を収めるのは難しい。だが、Xiaomiエコシステムはそうした企業の助け舟としても機能する。マイナー企業はXiaomiから資金を調達できるほか、Xiaomiのスマホアプリなどで操作できるスマート家電をリリースでき、何の後ろ盾もない場合よりも商品の売れ行きを伸ばせる。
Xiaomiは開発や投資だけでなく、スマート家電の“ハブ”となることを目指し、これらの操作を効率化するテクノロジーにも磨きをかけている。例えば、Xiaomiが先ごろ発表した「UWBテクノロジー」は、操作したい家電にスマホを向けると、システム側でその家電が何かを認識し、対応するコントロール画面が自動で開くというもの。スマート家電を複数所有するユーザーには便利な機能だ。
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