ネット証券3社でシステム障害、最大1時間取引できず 原因は米国の取次先システム
SBI証券などネット証券3社で12月7日の深夜から8日未明にかけて、米国株式の取引が一時できない状態になっていたことが分かった。米国の取次先のシステム障害が原因。3社は利用者の状況や障害の原因などについて調査を進めている。
SBI証券などネット証券3社で12月7日の深夜から8日未明にかけて、米国株式の取引が一時できない状態になっていたことが分かった。米国の取次先のシステム障害が原因。3社は利用者の状況や米国のシステムの状況について調査を進めている。
取引で障害が発生したのはSBI証券と楽天証券、DMM.com証券の3社。このうちSBI証券では7日午後11時30分ごろから8日午前0時40分ごろまで最大で約1時間、全ての取引が中止となった。
国内の株式取引の場合は自社の取引システムから東京証券取引所などに売買注文を出して取引する仕組みだが、米国株式の場合、各社の自社システムで注文を受け付け、米国の現地ブローカーが提供するシステムを通して取引する。3社はいずれも米国の証券会社Interactive Brokersのシステムを使っていることから連鎖的に障害が発生した。3社ともに自社の取引システムに異常はなかったという。
障害の原因については「取り次ぎ先で発生した事象のため、当社から回答する立場にない」(SBI、楽天証券)、「現地からの報告を待っている状況」(DMM)として、現時点で不明。
各社で対応に違い SBI証券は「補填の対象外」
今回のシステム障害を巡っては情報発信で差が出た。DMMは自社の公式サイトで公表したのに対し、他の2社はユーザーの取引画面で表示するのみにとどまった。DMMは公表した理由について「当社はシステム障害が発生した場合、広く利用者にお知らせするという方針があったから」としている。SBIは「取り次ぎ先のブローカーで発生した障害のため」と回答した。
損失補填についても対応が分かれた。SBIは「補填の対象外」とする見解を示した。同社の公式サイトで公表している「システム障害時の定義」に該当しないからだという。SBIは自社サイトで「お客さまのパソコン、携帯電話、固定電話、インターネット通信回線の不具合や、取引所や情報配信元の障害など、当社が起因とならない場合は、ここで定義するシステム障害から除外される」としていた。
他の2社は「損失の発生など何があったのか、補填の対象になるかも含めて検証中。検証結果については個別にお知らせする」(楽天)、「注文内容を精査中」(DMM)とそれぞれ回答した。
3社のシステム障害を巡ってはTwitterなどで不満の声が上がっていた。
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