米Amazon Web Services(AWS)は12月10日、半導体設計大手の英Armがプロセッサの設計や検証などの作業にAWSのクラウドサービスを導入すると発表した。Armはプロセッサ設計や検証などの作業のうち、電子回路設計の自動化処理の大部分をAWSに移行した結果、作業効率が6倍も向上したとしている。
Armが利用しているインスタンスは、Amazon傘下のAnnapurna Labsが開発したGraviton2プロセッサを使用したもの。Graviton2は、Armが開発した「NEOVERSE N1」を基に、Armv8.2-A命令セットアーキテクチャに対応するプロセッサコア64基搭載し、DDR4-3200に対応するメモリコントローラーを4チャンネル備えている。
一般に、プロセッサの設計や検証などの作業には、その企業が自身で持つサーバ群を利用する。しかし、半導体製造技術がどんどん進化し、最新の数ナノメートル製造技術で生産したチップには数十億個のトランジスタを集積している。これだけ規模が大きくなると検証が必要な部分は莫大な数になり、無数のシミュレーションを実行しなければならない。企業内にあるサーバ群だけを使っていては、作業が大きく遅れる恐れもある。ArmはAWSを活用することで、大量のシミュレーションを同時並列で実行するなど、作業効率を大きく高めることに成功した、とAWSは説明している。
Armはさらに、AWSのコンピュータ資源の使用状況を遠隔監視しながらデータを蓄積し分析することで、AWSの利用効率改善も図る方針。最終的にはデータセンターの使用率を45%、自社サーバの使用率を80%引き下げることを目標としている。
関連記事
- AWSがMacインスタンスを提供開始 2021年にはM1搭載Macも
Macを買わなくてもアプリ開発ができる。Amazon AWSが提供を始めた。 - Graviton2採用インスタンスが高速化 AWSが独自開発Armプロセッサを使用した新インスタンスを発表
AWSが独自Armプロセッサを使ったインスタンスを強化した。 - AWS、自身でプロセッサを開発していく姿勢を明らかに 独自開発の第二世代ARMプロセッサ「Graviton 2」発表
AWSが、米ラスベガスで年次イベント「AWS re:Invent 2019」を開催中。基調講演にAndy Jassy氏が登場。独自開発したARMベースの新プロセッサ「Graviton 2」および、このプロセッサを用いた新しいインスタンスタイプ「M6g」「R6g」「C6g」を発表した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.