ソフトバンクG、一旦は破産申請した英OneWebに再投資 来年末までに648基の衛星群
昨年3月に破産申請し、7月に再生した衛星通信企業OneWebが、ソフトバンクGとHughes Network Systemsから追加資金を調達した。2022年末までに648基の通信衛星群を構築する計画だ。
衛星通信を手掛ける英OneWebは1月15日(現地時間)、ソフトバンクグループ(以下「ソフトバンクG」)と米通信衛星サービス企業Hughes Network Systemsから追加資金を調達したと発表した。これにより、同社の総資金は14億ドル(約1452億円)になり、2022年末までに648基の衛星で構成する第1世代の通信衛星群を構築できるとしている。
OneWebは2012年創業の、英ロンドンと米バージニア州に拠点を置く非公開企業。世界中のすべての人々にネット接続を提供することをミッションとし、衛星打ち上げや地上局の開設を進めている。ソフトバンクGは2016年にも同社に出資しているが、昨年3月、コロナ禍の中でニューヨーク州南部地区連邦破産裁判所に破産法第11章(チャプター11)に基づく破産保護を申請した。
昨年7月に英政府コンソーシアムと英通信企業Bharti Global LimitedがOneWebを買収し、事業運営の再開のための資金として10億ドル以上を提供すると発表。この取引を米裁判所が承認し、再生した。
昨年12月には米フロリダ州で製造された36基の衛星打ち上げに成功した。
ソフトバンクGの孫正義社長は発表文で「OneWebが世界中のインターネットアクセスを変革するという使命を果たすのを支援するために、Bharti、英国政府、およびHughesとのパートナーシップを継続できることを嬉しく思う」と語った。同社は出資に伴い、OneWebの取締役会に議席を獲得する。
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