AWS、商用サービス化を制限するライセンス変更に対抗し「Elasticsearch」をフォーク 独自のオープンソース版へ(1/2 ページ)
AWSが、オープンソースで開発されている検索エンジン「Elaticsearch」とデータの可視化ツール「Kibana」をフォークし、独自ディストリビューションを作成すると発表した。その背景に何があったのか。
この記事は新野淳一氏のブログ「Publickey」に掲載された「AWS、商用サービス化を制限するライセンス変更に対抗し「Elasticsearch」をフォーク、独自のオープンソース版へ」(2021年1月25日掲載)を、ITmedia NEWS編集部で一部編集し、転載したものです。
米Amazon Web Services(AWS)はこのほど、オープンソースで開発されている検索エンジン「Elaticsearch」とデータの可視化ツール「Kibana」をフォークし、独自ディストリビューションを作成すると発表しました(AWS日本語ブログ)。
これはElasticsearchとKibanaの開発元である蘭Elastic社が、AWSはElasticsearchの商標を無断で利用しているなどとしてAWSを名指しで非難し、AWSの商用利用を制限するライセンス変更を発表したことに対抗する措置として行われるものです。
参考記事:AWSをElasticが名指しで非難。ElasticsearchとKibanaのライセンスを、AWSが勝手にマネージドサービスで提供できないように変更へ
今後のAmazon Elasticsearchは、AWS版ディストリビューションを採用
AWSは、オープンソースのElasticsearchをマネージドサービスとして提供する「Amazon Elasticsearch Service」を提供しています。
今回Elastic社が発表したライセンス変更は、Elastic社の許可なくElasticsearchを商用サービスで提供することを制限する内容になっているため、このままでは「Amazon Elasticsearch Service」の継続的な提供ができなくなります。
AWSが取りうる主な選択肢は2つありました。
1つはElastic社と商用利用の契約を結ぶことで、ライセンス変更後もElastic社が開発するElasticsearchのソースコードをベースに商用サービスを継続すること。
そしてもう1つが、ライセンス変更前のソースコードを基にフォークを作成して独自のオープンソース版を作り、それを基に商用サービスを継続することです。
AWSが今回選んだのは後者でした(ちなみに米Googleや米Microsoftなど、Elasticsearchのマネージドサービスを提供している多くのクラウドベンダーが前者を選択したとされています)。
その理由は「To help keep Elasticsearch and Kibana open for everyone,」(全ての人にとってElasticsearchとKibanaがオープンであることを維持するための支援)としています。
AWSのブログ「Elastic社によるElasticsearchおよびKibanaのライセンス変更にともなうAWSの対応方針のご案内」から、一部を引用します。
AWSはElasticsearchとKibanaのバージョン7.10をベースにforkしたElasticsearchとKibanaをALv2ライセンスにて公開します。こちらは今後数週間以内に、新しいGitHubリポジトリを作成する形にて公開される予定です。このリポジトリはOpen Source Software(OSS)として、継続的にバグ修正や新機能、機能拡張を提供していきます。
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