COCOA不具合の原因は「APIの使い方を誤った」 平井デジタル相、改善を約束 開発の下請け構造改善も(2/2 ページ)
平井卓也デジタル改革担当相が政府の接触確認アプリ「COCOA」の不具合について、不具合発生の原因にアプリのAPI連携に問題があったことを説明した上で、今回の課題やデジタル庁を創設する意義などを改めて強調した。
「デジタル庁では多重構造ではない発注の仕方を」
COCOAのアプリ開発を巡っては、多重下請け構造による情報共有のミスがあったのではないかとの指摘もある。これに対し、平井大臣は「全ての国の発注業務もそうだが、プロジェクトがあり、プロジェクト管理をする人がいて、その能力がある会社が協力するという構図はなくならないと思う」と私見を述べた上で、「マスコミ報道で中抜きとか丸投げとかいうが、そういうのが許されるような状況はITの世界にはないと思っている」と指摘。
ただ、「発注者に能力が無かった時にはスタート段階から外部に委託する。そうすると下のレイヤーに仕事が出ていく」とし、「デジタル庁を作る目的が発注能力を高めるということ。自分でプロジェクト管理できる能力をもつということなので、デジタル庁では今後、このような多重構造ではない発注の仕方を最終的に目指していきたい」と改めてデジタル庁創設の意義と創設後の方針を示した。
「バグが多すぎる」COCOAアプリに改めて苦言、厚労省への同情も
会見ではCOCOAアプリの仕様に改めて苦言を呈す場面も。平井大臣は「いくら何でもバグが多すぎる。ここまでのトラブルは普通ありえない」とし、「ずっと人が張り付いて見ていれば、これ(不具合)をもっと細かく見ることができたと思う。私自身、そういうことが反省点だったのではないかと感じている」とコメントした。
一方で、コロナ対応で業務が集中する厚生労働省に対し、現場を抱える組織ならではの難しさを指摘し、同情する一幕もあった。
平井大臣は「厚生労働分野は大変。(医療の)現場とくっついているので、V-SYS(ワクチン接種円滑化システム)もCOCOAもITだけで完結することがない。そういう意味ではITだけで解決できないことを感じた」と述べ、「今後は業務の在り方も考えないと。法定受託事務で地方に業務を投げて全部任せるという形だと、いろいろな問題が各地域で出てくる可能性がある。国でシステムを導入するという難しさを感じた」と振り返った。
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