情報システム部門の業務負荷が高まっている。主な理由はリモートワーク環境の基盤となるPCやクラウドサービスなどの環境構築・管理、社内ヘルプデスク対応の増加、情報セキュリティ対策などだ。
新型コロナウイルスの影響で日本でも2020年4月、2021年1月と緊急事態宣言が発出され、感染防止のために在宅勤務が続いている人も多いだろう。全社的なリモートワーク移行で、社内ヘルプデスク対応に情シスが忙殺されている場合も多く、特に中小企業では“1人情シス”というケースも少なくない。今後を見据えたIT環境や情報セキュリティ対策の計画立案などが後回しになってしまう場合もある。
しかし、情報セキュリティ対策がおろそかになる状況は、企業にとって大きなリスクだ。経済産業省の公布(2020年12月18日付)によれば、中小企業を攻撃のターゲットに定め、最終的に関連する大企業への侵入を狙う「サプライチェーン攻撃」など、不正アクセスの手口はますます巧妙になっている。こうした攻撃に対抗するためにも、企業規模を問わず情報セキュリティ対策は急務だ。
そうした“本来の業務”に情シスが注力できるようにするために、日本HPでは社内のPC管理やメンテナンスなどの業務効率化を実現するサービスを提案している。社内デバイスの稼働状況をリアルタイムで監視して、ダッシュボード上で一括管理できるようにする「HP TechPulse プロアクティブ管理サービス」だ。
このサービスを活用することで、企業や情シスにとってどのようなメリットが生まれるのか。日本HPの渕上弘士さん(サービス・ソリューション事業本部 クライアントソリューション本部 ソリューション営業部 部長)に話を聞いた。
PCリソースを一括管理「HP TechPulse プロアクティブ管理サービス」
HP TechPulse プロアクティブ管理サービスは、マルチOS対応のデバイス管理サービスだ。日本HP製のPCだけでなく、他社のWindows PCやMac、スマートフォンにも対応している。
その大きな特徴はAIを活用した予測分析機能を備えている点だ。HPビジネスPCをはじめHP TechPulse プロアクティブ管理のエージェントソフトがインストールされた全世界4000万台以上のデバイス情報を収集している。個人や企業などの情報が含まれない、純粋なデバイスのメンテナンスに関するものをビッグデータとして扱い、故障や動作不良の前兆を予知するために使う。
その情報から「デバイスが壊れそうなので交換した方がいい」と通知したり、温度や負荷率、ストレージの残容量といった情報を基に、適したデバイスへのリプレースをレコメンドしたりできる。
「リモートワークをしている人の中には、マシンに不具合があっても他の業務が忙しくて情シス部門に相談する機会がなかなか無いということもあります。特にブルースクリーンのような軽微と思われる不具合は見過ごされてしまいがちですが、HP TechPulse プロアクティブ管理サービスを使えば、情シス自らが従業員のデバイスの状況を能動的に把握できるようになります」(渕上さん)
他にも「リモートワークでWeb会議ツールの利用頻度が上がっているにもかかわらず、マシンパワーが足らずに生産性が落ちている」といった情報が可視化できるようになる。
必要な人に必要なデバイスが行き渡っているかも判断できる他、位置情報を取得してテレワーク中のノートPCがどこにあるのかも把握できる。この機能を使ってノートPCの貸し出し管理をしている企業もある。
HP TechPulse プロアクティブ管理の機能はクラウド上で提供されるため、管理するPCにエージェントソフトがインストールされていれば、インターネットに接続しているときに自動で情報を収集、分析してくれる。情シスはWebブラウザから管理画面を開くだけで社内のPCの状況が分かるようになる。これらの機能を活用すれば、情シスのデバイス管理に関する負荷を大きく下げられる。
欠かせないセキュリティ対策を「HP Wolf Pro Security Service」で
リモートワークの増加でデバイスの管理と併せて重要なのがセキュリティ対策だ。これまでは“オフィス”が働く場所であったのに対し、今は“PCなどのデバイスと、それを使う人がいるところが働く場所”になっているというのが日本HPの考えだ。
従来はオフィスの内部を外の脅威から守ればよかったが、今は外部からインターネットを経由して社内に接続して仕事をするなど、守るべき境界を定義することが難しくなっている。情シスは個々のエンドポイントを守る方向にセキュリティ対策の考えを改める必要があるだろう。
エンドポイントの安全を確保するためには、マルウェアから防御してPCが感染することを防ぐことが重要となる。しかし、通常のアンチウイルスソフトはマルウェアの情報がアンチウイルスソフトのベンダーに渡り、その解析情報がデータベースにパターンファイルとして登録されるまで無防備状態となる。つまり、1日に35万個の新しいマルウェアが作られる現実ではマルウェア対策としては不十分だ。
そこで日本HPが提案するセキュリティソリューションが「HP Wolf Pro Security Service」だ。同ソリューションであれば、上記のようなケースにも十分対応ができるという。
「HP Wolf Pro Security Serviceは、従来型のアンチウイルスソフトが見逃したパターンファイルに無い未知の脅威を防御する『HP Sure Sense Advanced』と、添付ファイルをクリックしたり、悪意あるWebサイトへのアクセスによるマルウェア感染を防いだりする『HP Sure Click Advanced』で端末を防御します」(渕上さん)
HP Sure Sense Advancedはディープラーニング型のアンチウイルスソフトだ。これまでのAIを利用したアンチウイルスソフトはマルウェアの生データを人が解析して特徴を抽出し、マシンラーニングを行っていたため、学習データ量の確保が難しく、そのため誤検知が多くなりがちで、モデルの更新が必要だった。
HP Sure Sense Advancedではマルウェアをそのままディープラーニングのニューラルネットへ送るため、大量の学習データを確保でき、高精度の判定が可能で検知率も高い。
さらに強力な防御策が、HP Sure Click Advancedだ。メールに添付されたマルウェア、悪意のあるURLリンク、ダウンロードファイルを開いてしまうなど、ユーザーがリスクのあるアクションをしてしまった場合、メモリ内に用意されている使い捨てのマイクロ仮想マシン内で実行されるよう、ハードウェアレベルでのアプリケーション隔離が行われる。そして万が一、マイクロ仮想マシン内でマルウェアが実行された場合、仮想マシンごと消去するので、大本のOSには何ら影響がない。
「悪意のある添付ファイルやリンクをクリックしないでください」──こんな周知を社内で行った経験がある人もいるだろう。しかし、最近の悪意のあるファイルやリンクは巧妙に作られているため、絶対に防ぐことは不可能だ。
従業員に対しても、普段から何ら意識させることなく、業務に集中できるというメリットを情シスが提示できるようになる。
これらの高度なセキュリティ機能が連携することで、HP Wolf Pro Security Serviceはデバイスの保護状態や最もリスクの高いエンドポイントなどについて4時間ごとにレポートを発行する。情シスは脅威の詳細やセキュリティリスクに関する洞察が可能となる。さらに、これらには日本HPのセキュリティ専門家による有人サポートが付くのも大きな特徴だ。
ポリシーの調整や設定、脅威が検出された場合のインシデント分析、ゼロデイ攻撃が捕捉された際の分析レポートを提供してくれるため、情シスは社内にセキュリティの専門家を置くことなく高度なセキュリティ対策を行える。
確かなサービスで情シスの負荷軽減を
日本HPは情シスやそれに準ずる管理を行っている人の負担軽減を目指し、HP TechPulse プロアクティブ管理サービスやHP Wolf Pro Security Serviceといったサービスを提供している。こうしたサービスを使えば、大企業はもちろんのこと、人のリソースが限られている中小企業でも情シスの業務を効率化できるだろう。
情シスの社内ヘルプデスク対応やPCデバイス管理といった業務を効率化することで、その余力を他のことに使えるようになる。それは、より従業員の生産性を高めるIT環境の構築であったり、DX(デジタルトランスフォーメーション)の一端を担う“攻めのIT”だったりするかもしれない。
情シスの負荷軽減に課題を持つ企業は、日本HPのサービスを導入してみてはいかがだろうか。
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