教師データ1個で精度90%以上の行動分析AI 富士通が開発、製造業向けに
富士通研究所が、製造現場の作業員を記録した映像から「部品を取る」「ネジを締める」などの個別の行動を自動で認識するAI技術を開発したと発表した。教師データを1組学習させるだけで、90%の精度で行動分析できたという。
富士通研究所は2月18日、製造現場の作業員を記録した映像から「部品を取る」「ネジを締める」などの個別の行動を自動で認識するAI技術を開発したと発表した。教師データを1組学習させるだけで、90%の精度で行動分析できたという。
AIの学習には、映像に写る人物の行動を分析する技術「FUJITSU Technology Actlyzer」を活用。まず、教師データの映像から人物の姿勢を推定し、1つ1つの動作を「単位動作」というカテゴリーにまとめる。次に「5〜14秒は部品Aのはめ込み」「15〜21秒は部品Aのねじ止め」など、映像に映った人物の行動をラベルとして記録した教師データと、単位動作の関係をAIに学習させる。
一連の動作を単位動作との組み合わせで認識させることで、作業員による動作の細かい違いがあっても、正しく行動分析できるようにした。単位動作をまとめる際も、姿勢の変化が近ければ同じ動作と見なすことで、作業員やカメラの位置が違っても対応できるという。
富士通研究所によると、製造業の現場では作業を記録した映像を分析して問題点の洗い出しや改善を行っているが、手作業での分析には工数が掛かり過ぎる問題があったという。AIを活用した自動分析技術もあるが、これまでは作業員ごとの動作のばらつきを含めて認識するために多くの教師データが必要だった。
今後は、製造業の他、物流や農業などの現場で実証を進める。2021年度内の実用化を目指すという。
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