総務大臣奨励賞に「シン・テレワークシステム」の登大遊さんら サイバーセキュリティ分野の功績を表彰
総務省はサイバーセキュリティ分野での功績を表彰する「総務大臣奨励賞」の受賞者に「シン・テレワークシステム」の開発で知られる情報処理推進機構(IPA)の登大遊サイバー技術研究室長を含む2人と1団体を選出したと発表した。
総務省は2月26日、サイバーセキュリティ分野での功績を表彰する「総務大臣奨励賞」の受賞者に「シン・テレワークシステム」の開発で知られる情報処理推進機構(IPA)の登大遊サイバー技術研究室長を含む2人と1団体を選出したと発表した。いずれも初の受賞。
登さんは遠隔地にある複数のLANをつないで1つのVPNを構築するソフトウェア「SoftEther VPN」の開発で知られる人物。
4月1日付でNTT東日本に非常勤社員として入社し、NTT東日本とIPAの共同施策として、自宅のPCからオフィスにあるPCを遠隔操作できるシン・テレワークシステムを開発。同システムの技術を基に「自治体テレワークシステム for LGWAN」の開発にも参画し、対応が遅れていた自治体職員のテレワーク実現にも貢献した。
こうした功績から「先進的なテレワーク環境の整備とサイバーセキュリティの向上に大きく貢献した」との評価を得た。
その他、個人ではゲーム感覚でサイバー攻撃に対処する能力を磨く「Micro Hardening」という人材育成手法の開発や、情報通信研究機構(NICT)の実践的サイバー防御演習「CYDER」の推進委員などを務める川口洋さんが表彰された。サイバーセキュリティに関する周知啓発への貢献が評価された。
団体では鳥取県の自治体ICT共同化推進協議会が受賞。県内で、情報セキュリティに関するインシデント対応の専門組織「CSIRT」(Computer Security Incident Response Team、シーサート)の設置を推進し、県内で発生したセキュリティインシデントの再発防止などに取り組んだことが評価されたという。
総務大臣奨励賞は、サイバーセキュリティの分野で優れた功績を挙げた個人・団体を表彰する賞として2017年に創設。自薦や他薦で候補者を公募し、有識者で構成する選考委員会(委員長=村井純・慶応大教授)が受賞者を決める。2020年度は20年11月から候補者を募集していた。
総務省は3月中にオンラインで授賞式を開催する方針。
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