Facebook、脳からの神経信号を読み取るリストバンドを披露 ARメガネの入力用
Facebookが開発中のARメガネの入力デバイスとして開発中のリストバンドのプロトタイプを披露した。2019年に買収したCTRL-labsの技術に基づくもので、脳からの神経信号を読み取り、指の動きで仮想キーボードでの入力やARのオブジェクト操作を可能にする。
米Facebookは3月18日(現地時間)、脳からの神経信号を読み取り、タイピングやスマートホーム端末の操作、ゲームなどをジェスチャーで行えるようにするリストバンド式のAR(拡張現実)インタフェースの計画を発表した。リストバンドは触覚フィードバックも備える。
このリストバンドのプロジェクトは、Facebookが2019年に買収した非侵襲的神経インタフェースを開発する米新興企業CTRL-labsの技術に基づいている。CTRL-labsは、脊髄の神経から手の筋肉に送られる、例えば「マウスをクリックする」「ボタンを押す」などの操作を指示する電気信号をデコードしてPCなどの無線接続した端末が理解できる信号に変換し、操作できるようにするリストバンドを開発していた。
Facebookはこのリストバンドはまだ開発の初期段階だとしているが、同社が開発中のARメガネの入力用コントローラーにする計画のようだ。Facebookは1月、年内に最初の「スマートグラス」を発売する計画を発表した。
機能紹介動画では、リストバンドをしたままテーブル上でタイピングすることでかなり高速でテキストを入力できたり、スマート電気スタンドの明るさを調整したりするデモが披露された。タイピングでは、リストバンドで入力する仮想キーボードは使うほどにユーザーのタイピングスタイルを学習し、徐々にユーザーに最適化されていく。
触覚フィードバックは、現在のプロトタイプでは、リストバンド内の空気圧ベローズで手首を圧したり振動させたりする方法と、振動触覚アクチュエータによる方法をテストしている。デモ動画では、仮想のアーチェリーで弓を引き、矢を放つ感覚を手首に与える例が紹介されている。
Facebookによると、手首を通る電気信号は非常に明確なため、わずか1mmの指の動きでも理解できるという。つまり、タイピングが簡単にできるということだ。将来的には「指を動かす意図だけで入力することも可能かもしれない」としている。
CTRL-labsの買収でFacebook Reality Labs入りしたトーマス・リアドン氏は「われわれが神経インタフェースで取り組んでいるのは、脳神経からの出力で直接マシンを制御できるようにすることだ」と語った。つまり、手を動かさなくても、考えるだけで入力したり、ものを操作したりするということだ。
Facebookは「これは心を読むということとは違う」と強調する。とはいえ、Facebookはおそらく、ユーザーが入力する操作の履歴をデータセンターに保存することになるだろう。同社は「倫理的問題を解決するには、社会レベルの関与が必要」で、「懸念に対処するためにオープンな議論に参加する」としている。
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