五輪関係者の健康管理アプリ、仕様見直しへ 海外客の受け入れ見送りで
平井卓也デジタル改革担当相が7月に開幕予定の東京オリンピック・パラリンピック競技大会(東京五輪)で来日する選手や関係者向けに提供する健康管理システムについて、システムの仕様や運用方法の見直しを行うことを明らかにした。
平井卓也デジタル改革担当相は3月30日の会見で、7月に開幕予定の東京オリンピック・パラリンピック競技大会(東京五輪)で来日する選手や関係者向けに提供する健康管理システムについて、システムの仕様や運用方針の見直しを行うことを明らかにした。平井大臣は「これから精査する。(発注の)金額が下がるのは間違いない」としている。
国が仕様の見直しに着手するのは、「入国者健康情報等管理システム」。入国前にアプリとしてインストールしてもらい、パスポートナンバーなどとひもづけ、PCR検査の陰性証明を登録する機能や入国後の体温管理などの機能を検討している。外務省のビザ発給システムと連携させ、アプリ内からのビザ申請も検討中だ。
内閣官房IT総合戦略室(IT室)は1月14日、システム開発の委託契約を締結していた。予算は約73億円。IT室は4月以降にテストを開始し、6月中にアプリをリリース、そして7月23日の大会開幕後にシステムを本格稼働させる方針だった。
IT室がシステムの開発を進めていた一方で、政府や国際オリンピック委員会(IOC)、東京都などは3月に東京五輪の海外からの観客を受け入れない方針を決定。これに伴い、同システムの動向が注目されていた。
平井大臣はシステムについて「オリパラに用途を限定せずに、広く日本への入国者を対象に、入国にかかるさまざまな手続きを1つのシステムで一体的に管理するシステム」とした上で、「状況は変わったものの、大枠は変更ない」と説明。
だが、海外客の受け入れを見送ったことで「契約変更や発注金額が下がるのは間違いない」と指摘した。具体的には外国人向けのコールセンター業務の縮小などで予算の圧縮を図る方針。システムの仕様や運用方針も見直す方針だ。
平井大臣は3月23日の会見でもこの件に言及しており、「スケジュールは変わっていない。相手方(開発委託先)と交渉し、確実な開発を行っていきたい」と話していた。
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