NFTの本当の可能性は「8月12日の三河屋のコーラ」にあり(3/3 ページ)
NFT(non fungible token)はあの漫画を知っている人は一発で理解できるだろう。
NFTの可能性は「アーティストとファンの関係を担保するところ」にある
その流れで言えば、筆者は、本当にマスコンテンツに近いものの一部にシリアル番号を入れてNFTで保護したとしても、そこにはあまり大きな価値は生まれないのでは……と思っている。やってることはDRMと変わらないからだ。
だが、よりアートに近いもの、もしくはサインやちょっとした付加価値としてのメモやイラストがついたものはどうだろう? そこには、アーティストへのリスペクトの表し方とマネタイズについて、新しい可能性が広がっている。
書籍の場合、著者が買った人にサインする、という文化がある。多くの場合、サインをしても価値は上がることはないが、「著者がサインしてくれた本」を、買った人は大切に思ってくれるものだ。
最近は、電子書籍でも「オンラインサイン会」をする人が増えてきた。筆者もやったことがあるし、漫画家の「うめ」先生は、4月11日に、新刊「東京トイボクシーズ」3巻の発売に合わせ、オンラインサイン会をやっていた。
こうしたサインがされた画像は、現状保護はされていない。サインは特定の人に向けたもので、コピーされてもあまり意味がないからだ。だが、もしNFTでこうした行為にある種の「担保」ができるとしたらどうだろう? ファンとアーティストの関係は強化できるし、新しいビジネスになるかもしれない。将来、「電子書籍で、ある人にある作家がしたサイン」に価値が生まれる可能性だってある。
「ファンとアーティストの関係を担保するもの」ならば、長期的に見ても、十分な可能性と市場が広がっているのではないか……と感じるし、その先に高い価値が生まれることもあるだろう、と思うのだ。
一方で、「NFTで何百万もうかる」的な話には、やっぱり気をつけた方がいい。そんな時期は長く続かないだろうし、詐欺的な話が混ざってくることも多い。美術品と詐欺は切っても切り離せない。NFTの本質を考えていくと、「そういうことじゃないんだ」という気持ちになってくるはずだ。
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