バレエ公演の無料ライブ配信を12万人が視聴 「手応え感じた」と新国立劇場
新国立劇場がバレエ「コッペリア」の無観客公演をYouTubeなどで無料ライブ配信し、3回の公演で計12万3000人が視聴した。最後の公演を5月8日に行う。
新国立劇場(東京都渋谷区)がバレエ「コッペリア」の無観客公演をYouTubeなどで無料ライブ配信し、3回の公演で計12万3000人が視聴した(最大同時視聴者数の合計)。最後の公演を5月8日に行う。
4月25日の緊急事態宣言を受けて一度は中止を発表し、チケットの払い戻しも始めていた。ライブ配信の実施を決めても有料配信を行うには準備期間が足りなかったため、視聴は無料として寄付を募ることにした。
動画配信は本来の公演と同じ日時にYouTubeの「新国立劇場公式チャンネル」とFacebookで実施。アーカイブを残さないこともあって注目度は高く、5月2日の初回公演は2つのプラットフォームを合わせて最大3万3000人が同時視聴した。
4日の公演は4万1000人、5日は4万9000人と回を重ねるごとに視聴者数は増加。新国立劇場の担当者は「客席の反応がなくステージのダンサーには辛い面もあったと思うが、多くの人に観てもらえたことに手応えも感じている」と話す。
視聴者からは「劇場には連れて行きにくい子ども達と一緒に楽しめた」「次は直接みたい」といった声が多数寄せられた。各公演はそれぞれ主役を異なるダンサーが務めるため、「キャスト違いで見るのがこんなに楽しくなるとは知らなかった」という意見もあった。
寄付の受け付けには、新国立劇場が持っていたインターネット小口寄付の仕組みを活用した。チケットの払い戻しを受け付けるページにも払い戻し金をそのまま劇場に寄付する選択肢を設けた。
払い戻しの期限は6月のため、今のところ寄付の状況は分からない。「経済的に厳しい面はある。しかし配信を通じてバレエを初めて見た人、バレエ団を好きになってくれた人も多い。それが次回以降の公演につながればうれしい」。最後の無料配信は5月8日の午後2時から実施する。
コッペリアはフランスの名振付師・ローラン・プティが創作した名作バレエ。コミカルな動きやしゃれっ気のある衣装や美術が特長の喜劇だが、年老いた人形師のコッペリウスを通じて「愛とは何か」といった問いを投げかける示唆に富んだ作品という。
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