「DarkSide」の攻撃を受けたColonial、操業再開 バイデン大統領はサイバーセキュリティに関する新大統領令に署名
ハッカー集団「DarkSide」の攻撃を受けて5日間操業停止していた米石油パイプラインのColonialが操業を再開したと発表。バイデン大統領はこの事件を受け、サイバーセキュリティ強化に向けた大統領令に署名した。
ハッカー集団「DarkSide」の攻撃を受けて5月7日(現地時間)から操業を停止している米石油パイプライン大手のColonial Pipeline Companyは12日、操業を再開すると発表した。
操業停止は米国の広範囲にわたるガソリン不足につながり、一時的にガソリン価格が高騰していた。
Webサイトには「本日午後5時ごろにパイプラインを再開した。製品配送のサプライチェーンが正常に戻るまでには数日かかる」とある。本稿執筆現在、日本を含む海外から同社の公式サイトへのアクセスはブロックされている。
Colonialは攻撃の詳細は明らかにしていない。ランサムウェア攻撃でどのようなデータを盗まれたのか、どのような脅迫を受けたのか、脅迫に応じたのかなどは不明だ。
この問題については米連邦捜査局(FBI)が11日、関わったのはハッカー集団DarkSideであると発表した。ジョー・バイデン米大統領は、この集団の拠点がロシアにあるため、ロシアに対策を求めたと語った。
バイデン氏は同日、SolarWindsや今回のColonialのような最近のサイバーセキュリティ問題に対処するための大統領令に署名した。
この大統領令は「連邦全体のネットワークを保護し、サイバー問題に関する米連邦政府と民間組織の情報共有を改善し、事件発生の際に対処能力を強化する」ことを目的としたもの。
Colonialは民間企業だが、米国のガソリン供給で重要な役割を担っており、米軍基地にもジェット燃料などを供給している。
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