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サイコロ振って「おちんちん」がそろえばハイスコア 3Dグラフィックスが本気のチンチロゲームがSteam売上1位に 開発者「みんな疲れているのでは」

「お」「ち」「ん」「ま」「う」「こ」の文字が書かれたサイコロを振り「うんこ」「ちんこ」「おちんちん」などがそろえばハイスコア──そんなPCゲームが人気を集めている。開発者に開発の背景や今後の展望を聞いた。

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 「お」「ち」「ん」「ま」「う」「こ」の文字が書かれたサイコロを振り「うんこ」「ちんこ」「おちんちん」などがそろえばハイスコア──そんなPCゲームが人気を集めている。ゲームの名前は「NKODICE」(んこダイス)。Twitterでは6月2日に「OCHINCHIN」が日本のトレンドに入り「おちんちんがなかなか出ない」「朝からおちんちん出た」などと話題になった。

 NKODICEのルールはこうだ。文字が書かれたサイコロ5つを振ると、出目によってスコアが増減する。最低でも3回振ることができ、サイコロを収めるお椀をゆらすことで、出目を操作することも可能だ。出目で「おちんちん」「うんこ」「ちんこ」などの言葉が完成すれば、BGMとともに「OCHINCHIN」「UNKO」などの文字がカットイン。“役”と見なされサイコロを振れる回数が増えたり、サイコロの個数が増えたりする。合計のスコアを他のプレイヤーと競える機能も備える。

 スコアが出ない代わりに何回でもサイコロを振れる「フリーロール」モードや、“作業用”としてひたすら自動でダイスを振る「オートプレイ」モードも搭載。価格は1000円で、2日時点ではセールとして40%オフで販売している。その人気はPCゲーム販売プラットフォーム「Steam」の日本のセールスランキングで「ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて S」などのタイトルを抑えて1位になるほどだ。

photo.6月2日時点のランキング

 開発したのは、フリーランスエンジニアのKSYMさん。NKODICEは、ゲームエンジン「Unity」の練習として8年前である2013年に作ったものに手を加え、21年5月31日にPCゲームとして公開したものという。KSYMさんは14年前、文字がそろえばブロックが消えるパズルゲームを個人で制作したことがあり、NKODICEにはこのアイデアを流用したとしている。

 しかし、なぜ8年も前の作品をこのタイミングで出したのか。KSYMさんは理由についてはこう話す。

 「これまでスマートフォンゲームなどを作ってきたが、だんだんとそのビジネスモデルに気に入らないところが出てきた。そこでPCゲーム向けのプラットフォームでもゲームを出してみようと思い、手続きの方法などを勉強するため、取りあえずすぐに出せるものを使うことにした」

 こういった経緯でリリースしたゲームのため、注目を集めていることには「初めてストアページを公開したときには4人くらいからしか反応がなく、売れないと思っていたが(注目が集まって)かなり驚いた。このご時世なので、みんな疲れているのではないかと思っている」としている。

「スコアのインフレ」「不正おちんちん」など懸念点も

 一方で、ゲームとしていくつかの懸念点もあるという。一つはスコアのインフレーションだ。

 NKODICEでは「おちんちん」「うんこ」以外にも役がある。例えば、「ん」が3つそろうと、スコアがマイナス3倍になってしまう。

 しかしもともとスコアがマイナスの状態だと、乗算の結果スコアがプラスに戻る。これを繰り返すことで、スコアを大きく伸ばすこともできる。現在はこのテクニックを利用し、スコアを上限である21億ギリギリまで伸ばす遊び方が流行しているという。

 KSYMさんはこの事態について「このままでは競技性がなくなってしまう。こういった遊び方を想定した『eスポーツモード』を作って対応したい」としている。

 もう一つは、「おちんちん」の役を出した数の不正だ。NKODICEでは出した役の数を記録し、Steamを通して確認できる。しかし、役を出した数が明らかに多すぎるプレイヤーがいるという。

 KSYMさんはこれを「不正おちんちん」と呼んでおり「役を出した数はローカルに保存しているため、何らかの方法でこれをいじられた可能性がある。こちらも今後対応する予定」としている。

今後は新モードも開発、ただし売上には期待せず

 KSYMさんによればゲームの公開後、多人数でのプレイを望む声が多かったことから、今後はeスポーツモードに加えマルチプレイモードも搭載する予定だ。ただし、売り上げについてはあまり期待していないという。KSYMさんは事情をこう話す。

 「5月31日にリリースして、6月1日にバズったが、2日時点で売り上げた数は数千本程度。プレイヤーも99%が日本人だった。長く遊ぶゲームでもないため、だんだんと話題も収まってくると思う。Steamでは購入から2週間、プレイ時間が2時間以内のゲームは返品できるため、今後相次ぐとみている」

 とはいえ、注目を集めたこと自体には思うところがあるという。KSYMさんはゲームへの反応についてこう話す。

 「内容が内容なのでプレスリリースも出さなかったが、メディアに取り上げられたり、配信者がYouTubeの規約違反になるかならないかとはらはらしながらプレイしたりしているのを確認している。昨今のインディーゲームは冒険した作品が少ないため、こういうやり方でも注目が集まるぞ、という例にはなったと思う」

【編集履歴:2021年6月3日午前10時38分 当初「売り上げた数は三桁程度」としていましたが、追加の取材に基づき「数千本程度」に変更しました。】

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