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DNAに“設計図”以外の新機能を発見 酵素活性を強める効果
東京農工大学大学院は、DNAに「生命の設計図」以外の機能として、酵素活性を強める効果を見つけたと発表した。DNAが、未知の生命現象の制御因子として働いている可能性を初めて示せたとしている。
東京農工大学大学院は6月7日、DNAに「生命の設計図」以外の機能として、酵素活性を強める効果を見つけたと発表した。遺伝情報の担い手としてだけではなく、未知の生命現象の制御因子としてもDNAが働いている可能性を初めて示せたとしている。
研究チームでは、筋肉中などに存在するタンパク質である「ミオグロビン」を酵素として使い、ミオグロビンの酵素活性を強めるようなDNA分子を開発を目指した。開発したDNA分子とミオグロビンは強く結合し、青紫色の発光を示す「ルミノール」で反応の強さを調べたところ、DNA分子が結合していない場合に比べて発光が300倍以上強まることが分かった。
DNAの維持や管理、遺伝情報の発現は、タンパク質によって制御されていたが、その逆に、DNAがタンパク質や酵素の性質を制御する機能を持つことはこれまで報告されていなかった。
研究チームは、この分子が発光シグナルの強化に使えることから「診断技術の開発に応用することで、がんなどの疾病マーカーや、感染症の原因微生物・ウイルスの簡易検査法の開発加速も期待できる」と見込んでいる。
研究成果は、英Oxford大学出版局の論文誌「Nucleic Acid Research」に6月7日付で掲載された。
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