リコー、AI活用のデータビジネスに参入 「ハード中心のビジネスを転換」
リコーは6月17日、AIを活用したデータビジネスに参入すると発表した。企業から受け取った文書などを分析し、得られたデータを基に業務効率化などを支援するサービスを提供する。2025年度までに100億円の売上を目指すといい、山下良則CEOは「ハードウェアビジネスとデータビジネスを組み合わせ、これまでハード中心だったビジネスの転換を図る」としている。
リコーは6月17日、AIを活用したデータビジネスに参入すると発表した。企業から許可を得て受け取った文書などを分析し、得られたデータを基に業務効率化などを支援するサービス「仕事のAI」を提供する。2025年度までに100億円の売上を目指すといい、山下良則CEOは「これまでのハードウェアビジネスとデータビジネスを組み合わせ、ハード中心だったビジネスの転換を図る」としている。
第1弾として、食品事業者向けに「RICOH 品質分析サービス Standard for 食品業」を7月15日から提供する。コールセンターなどへの問い合わせ内容から消費者の健康や体調に関する情報を抽出して企業に渡すサービスで、月額20万円(税別、以下同)で月3000件までのデータを分析する。超過した場合の追加料金はデータ1件につき5円。別途10万円の初期費用も発生する。
サービスの仕組みはこうだ。まずユーザー企業が問い合わせ内容をCSVファイルにまとめ、専用サイトにアップすると、リコーのクラウド基盤「リコースマートインテグレーション」上の自然言語処理AIがこれを分析。問い合わせの中から健康に関する言葉が含まれるものを抽出し、「消化器症状」「頭痛」といった項目や重要度ごとに分類する。問い合わせ内容のテキスト化は、手作業もしくはリコーの文字起こしサービスなどを使い、ユーザー企業側が行う。
まずは大企業・中堅企業に提供。21年第4四半期をめどに中小企業向けへの展開も進める。小売・製造業向けのサービスや、データの入出力に同社の複合機を活用する機能の開発も検討しているものの、具体的な仕様はまだ決まっていないとしている。
リコーはこれまでにも、自然言語処理AIを活用したサービスとして、企業の売上などを基に与信を判断する「与信スコアAI」や、帳簿などの中から文字を抜き出す「AI OCR」を提供している。
今回のAIにはこれらのサービスで得た知見を反映したといい、今後はチラシや報告書を校閲したり、営業日報や名刺の情報を分析し、得られたデータを基に営業活動をサポートしたりする機能も提供する方針。
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