「TENGAロケット」真っ赤な機体が初公開 「宇宙用TENGA」開発のデータ収集に活用 ホリエモンも協力
TENGA社と堀江貴文氏が立ち上げた宇宙ベンチャー・ISTが「TENGAロケット」の機体を初公開。「宇宙用TENGA」開発に向けてデータを集める。打ち上げは今夏を予定。
TENGA社は6月30日、今夏をめどに宇宙に発射する予定の「TENGAロケット」の機体を公開した。全長約10mの無人ロケットを赤くペイントし「愛と自由とTENGA」というTENGA社のブランドメッセージを印刷。計測機材などを積み込んで宇宙に打ち上げ「宇宙用TENGA」の開発に向けたデータを集める。
ロケットは堀江貴文氏が立ち上げた宇宙ベンチャー・インターステラテクノロジズ(IST、北海道大樹町)が製造する「MOMO」シリーズを改良したもの。大気圏と宇宙空間との境界に当たる高度100kmまで打ち上げる予定で、地上に向けて自由落下する約240秒の間に、無重力状態における温度や湿度・圧力の変化といったデータを収集する。
集めたデータは宇宙用TENGAの開発に活用。TENGA社の松本光一社長によれば、宇宙用TENGAの仕様は詳しく決まっていないものの、従来の製品より小型・軽量化し、使用後に洗わなくていいものを目指すという。
宇宙空間ではデータの収集に加え、他に2つの取り組みも行う。
一つはロケットの打ち上げ準備費用を集めているクラウドファンディングの返礼だ。支援者が書いたメッセージを積み込んだ「TENGA型ポッド」を宇宙空間に射出する。
もう一つが、宇宙空間で放出した荷物を地上で回収できるかどうかの検証だ。他の取り組みで使った機材やTENGAを模した人形「TENGAロボット」をペイロード(積み荷)として地球に向けて放出。後日、これらを回収できるか確かめる。
ISTによれば、日本の民間企業が宇宙でペイロードを射出し、地上で回収できた例はまだないという。堀江氏は「(実験が成功すれば)低予算でも宇宙空間での実験が可能という例になる。エンタメでの活用における扉も開ける」としている。
松本社長はISTと共同でロケットを開発した経緯について「ISTのモノづくりオタクなところに魅力を感じて、2011年ごろに堀江氏に声をかけたのがきっかけ」と説明。打ち上げについては「宇宙用TENGAは創業時からの夢。(今回の取り組みを通して)宇宙生活時代における『宇宙の性デバイス』のパイオニアを目指す」としている。
一方の堀江氏は「インターネットが登場した当時は『研究以外で使うな』という声もあったが、今では世界中でゲームやアダルトコンテンツのために使われている。同様に(今回のように)宇宙ロケットも見たことない用途に使われる可能性がある。こういった未来を積極的に狙っていきたい」とコメント。
ISTではTENGA社以外にもロケットを提供しているため、今夏の打ち上げを成功させることで、安定性の証明につなげる狙いもあると話した。
TENGAロケットの打ち上げやポッド射出の様子についてはライブ配信も行う予定。ただし、新型コロナ対策として当初実施予定だった現地での見学は行わず、打ち上げ日も直前まで公開しないという。
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