Arm、フレキシブルな32bitプロセッサ「PlasticArm」製造成功
Armがフレキシブル(折り曲げ可能)な非シリコンプロセッサ「PlasticArm」の製造に成功したと発表した。ポリイミドと金属酸化物の薄膜トランジスタを組み合わせた32ビットのCortex-M0ベースのSoC。皮膚に直接適用するヘルスモニタリングシステムなどでの採用を見込む。
英Armは7月21日(現地時間)、フレキシブル(折り曲げ可能)な非シリコンプロセッサ「PlasticArm」の製造に成功したと発表した。まだ実用段階ではないが、将来的にはIoT、特にヘルスケア分野での採用を見込む。
ArmはNatureに掲載された論文の概要で、PlasticArmは「超薄型フォームファクター、適合性、超低コスト、大量生産の可能性の組み合わせを通じて、日常のオブジェクトとシームレスに統合されるドメイン内で動作する。このプロセッサは、数十億の低コストで超薄型のマイクロプロセッサを日常のオブジェクトに組み込むことの先駆者だ」と説明する。例えば人間の皮膚に直接適用するインテリジェントな使い捨てヘルスモニタリングシステムなどに利用できるとしている。
PlasticArmは、128バイトのRAMと456バイトのROMを備える32ビットのCortex-M0ベースのSoC。半導体ではなく、高性能プラスチックの一種であるポリイミドと金属酸化物の薄膜トランジスタを組み合わせた基板で製造した。
既存のフレキシブル回路の約12倍複雑な処理が可能としている。ただし、現時点ではROM内のテストプログラムを実行することしかできない。
同社は2013年にPlasticArmのプロジェクトを立ち上げ、2015年には最初のプロトタイプを披露したが、それは完全には機能しなかった。その後英PragmatICの製造システムを採用したことで、昨年10月、稼働するPlasticArmの製造に成功した。
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