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感染研、新型コロナの記事や投稿への不適切な引用に苦言 「健全な社会の議論をゆがめる」
国立感染症研究所が、研究成果について不適切な引用を控えるよう呼び掛けた。同研究所は一部の記事やSNS投稿に念頭に「健全な社会の議論をゆがめてしまう」と苦言を呈している。
新型コロナに関する研究成果の一部を都合よく切り取り、科学的な議論を逸脱した解釈をしている記事やSNS投稿などが散見されるとして、国立感染症研究所(感染研)は8月2日、不適切な引用を控えるよう呼び掛けた。
感染研は研究成果について「可能な限り最新で、信頼がおける情報やエビデンスを国内外から収集・分析している」「多くの研究者が専門家としての責任と理念のもと、時間をかけ、熟考して作成、掲載している」と説明。その一方で「一部の情報を切り取り、科学的な議論を逸脱した解釈をしている記事やSNS投稿がある」と指摘した。
例えば、あるアカウントは感染研の積極的疫学調査から「ワクチン接種後感染例の一部では二次感染しうることが示唆された」と書いた箇所を引用。コロナワクチンの効果がないとする内容を投稿し、1000件以上リツイートされていた。
感染研は「文章全体を精読し、正確な内容を理解した上で、リンクを伴った引用などを通じて議論することは歓迎」とする一方、「元の内容を大きく変えたり、自らの主張に都合のいいように一部の文言だけを切り出して使用することは、当所が誤った内容を発信している印象を与えるだけでなく、科学を踏まえた健全な社会の議論をゆがめてしまうことを強く懸念する」とコメントしている。
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