JAXA、国産「空飛ぶクルマ」研究開発に協力 国内最大の「風洞実験装置」提供
SkyDriveが、「空飛ぶクルマ」のローターが生む推力などの解析に向け、JAXAと共同研究を始めたと発表。JAXAが保有する日本で最も大きい風洞実験装置でローターの設計などに必要なデータを集め、活用する。
NECなどが出資するベンチャー・SkyDrive(東京都新宿区)は8月10日、「空飛ぶクルマ」のローターが生む推力などの解析に向け、JAXAと共同研究を始めたと発表した。JAXAが保有する日本で最も大きい「風洞実験装置」(人工的に空気の流れを発生させ、物に働く力を測る装置)を活用。集めたデータを、ローターの設計見直しなどに役立てる。
研究では、6.5(高さ)×5.5(幅)mのスペースを持ち、最大で秒速70mの風を起こせる「6.5m×5.5m低速風洞」を活用。空飛ぶクルマのローターに空気がどんな影響を与えるかを計測する。初回の実験は実施済みで、現在は集めたデータを基に、ローターの設計などを再検討している段階という。今後は状況に応じて2回目以降の実験を行う。
SkyDriveは航空機やドローンのエンジニアが集う有志団体「CARTIVATOR」のメンバーを中心に、2018年に発足。CARTIVATORが14年から研究していた、ヘリコプターのように回転する翼を複数備えた空飛ぶクルマの開発を引き継いでおり、現在は23年の実用化を目指してデモフライトなどを進めている。
JAXAと協力した経緯については「省電化や静音化のためにローターの形状や回転数を見直していたが、(SkyDriveが手掛ける形状の)空飛ぶクルマが空気から受ける影響について、前例となるデータがなく、実機での実験が必要になった。しかし利用を検討していたローターが収まる設備が他になかったため、日本で最も大きい風洞実験装置を保有するJAXAの力を借りた」としている。
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