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美しいが作りづらい「ゼリーの中に咲く花」、フード3Dプリンタで手軽に 東大、「Flower Jelly Printer」開発Innovative Tech(2/2 ページ)

制作には困難を極めるフラワーゼリー。これを簡単に作れる3Dプリンタが誕生した。

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 花弁型ナイフは、切り込みと注入を同時に行うカスタマイズされた独自のもの。事前に設計した花のデザインに応じたナイフは3Dプリンタで印刷。設計ソフトウェア上で花のデザインが確定すると、デザインされた花弁の形状、注射針(内径0.4mm)、シリコンチューブとの接続パーツを組み合わせた花弁型ナイフのSTLファイルが生成され、それを基に3Dプリンタで印刷する。

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カスタマイズされた花びらを形成するナイフ

 フラワーゼリーの花弁の形状と花全体の構造をデザインする設計ソフトウェアでは、ユーザーがさまざまなパラメーターを調整して3Dプレビューを見ながら試行錯誤を繰り返し、花を直感的にデザインしていく。一からの作成ではなく、ライブラリから花を選択しデフォルトのパラメーターから微調整していくため初心者でも容易に設計できる。

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設計ソフトウェアのインタフェース

 実験では、数枚の花びらで構成されたシンプルな花から、複数の花びらの層を持つ複雑な花まで、さまざまなデザインパターンを作製。フラワーゼリーの初心者と経験者を募集し、ユーザー調査も行った。その結果、初心者でも簡単にフラワーゼリーを作成でき、経験者は納得が行くまでさまざまなパターンを試した上で造形できることが分かった。

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印刷されたフラワーゼリー。列はそれぞれ、花びらの基本情報、花の全体構造、花びらと構造の模式的な3Dプレビュー、および印刷されたオブジェクトの写真を示す

 今後はゼリー以外の食材も検討している。ケーキの中に異なる味や食感のゲルを仕込む、3Dプリントした赤身肉ステーキ内に脂肪部分(ゲル)や肉汁(液体)を注入するなど、さまざまな応用が見込めるという。嚥下(えんか)機能が低下した人のための食事では、誤嚥のリスクを低下させるためにゲルを使うことが多いため、このプリンタを用いることで嚥下調整食がデザインしやすくなる可能性もあるという。

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ゼリーだけでなく、他の食材を使用したデザイン例(画像は東京大学提供)
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