科学技術の研究開発費、米中との差がさらに広がる 博士号人材の登用進まず
科学技術・学術政策研究所が、世界各国の2019年度研究開発費用の調査結果を公開。日本は18兆円で前年同様3位ながらも、研究開発費用は0.2%増にとどまったのに対し、1位の米国は8.2%増、2位の中国は12.8%増の成長を見せた。
科学技術・学術政策研究所(NISTEP)が8月10日に公開した、世界各国における2019年度の科学技術の研究開発費用の調査結果から、日本と米中の差が前年よりも広がっていることが分かった。日本は約18兆円で前年同様3位ながらも、研究開発費用は0.2%増にとどまったのに対し、1位の米国は8.2%増、2位の中国は12.8%増の成長を見せた。
企業の研究開発費は、日本では約14兆円で前年比0.2%減。米国は約50兆円(前年比8.9%増)、中国は約41兆円(前年比11.4%増)という結果だった。
大学の研究開発費は、日本は総務省のデータから算出した値では約3.7兆円(前年比1.1%増)、経済協力開発機構(OECD)のデータからは約2.1兆円(前年比1.3%増)となった。1位の米国は約8.1兆円(前年比5.0%増)、2位の中国は約4.4兆円(前年比23%増)。
研究者数の推移も同様で、日本は中国と米国の次に規模が大きく、2019年度はフルタイムで働く研究者数が約67万人(前年比0.7%増)、兼業も含めた研究者数は約93万人(前年比0.5%増)であった。
博士号を持つ研究者の割合を産業別に日本と米国で比較したところ、米国ではほとんどの産業で5%を超えていたが、日本は多くの産業で5%未満となっており、米国と比べて博士号を持つ人材の活用度は低い傾向だった。
科学技術指標2021はNISTEPが毎年発行する、日本の科学技術活動を把握するための資料。「研究開発費」「研究開発人材」「高等教育と科学技術人材」「研究開発のアウトプット」「科学技術とイノベーション」の5つのカテゴリーで日本と主要国の状況を比較している。
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