「LayerXはもうブロックチェーンの会社じゃない」 福島CEOがnoteで告白
「LayerXはもうブロックチェーンの会社じゃない」──ブロックチェーンのコンサルティング企業として設立したLayerXの福島良典CEOが、自身のnoteでこう明かした。同社が方針を変えた理由とは。
「現在LayerXはブロックチェーンに関わる事業を主たる事業としてやっておりません」──Gunosyの創業者でもあるLayerXの福島良典CEOは8月18日、ブロックチェーンのコンサルティング企業として立ち上げた同社についてこう明かした。LayerXは現在、SaaS事業やフィンテック事業を手掛けているという。
LayerXを創業した2018年当時、福島CEOは「ブロックチェーンは20年ぶりに訪れた大チャンス。インターネット以来の大きな波」としてブロックチェーンに本腰を入れる姿勢を見せていた。あれからどんな認識の変化があったのか。
福島CEOは一連の経緯をコンテンツ共有サービス「note」に投稿。LayerXがブロックチェーンのコンサル事業から撤退したのは2020年7月から8月ごろ。撤退を決めた理由について福島CEOは「コンサルを通じて日本はブロックチェーンなんて言ってる場合じゃないということが改めて分かった」としている。
同社がコンサルを行う中で、企業のデジタル化を4つのレベルに分類した。レベル1は紙をPDF化するなどの「ツールの電子化」、レベル2はハンコ廃止やSaaS導入など「業務のデジタル化」、レベル3はAIやIoTを活用したデータドリブンな意思決定などの「業務の高度化」、レベル4はブロックチェーンやデジタル通貨の活用など「会社横断・業界横断でのデジタル化」だ。
福島CEOは日本企業のデジタル化について、ようやくレベル1が活発になってきた段階と指摘。ブロックチェーンのコンサル事業を進めるには、これをレベル3の段階にまで上げる必要があるため、20年からSaaS事業やフィンテック事業に乗り出したとしている。
同社は現在、SaaS事業としてAIで請求書のデータ化を自動化する「LayerX インボイス・ワークフロー」を提供している他、フィンテック事業として関連会社と連携した資産運用を行っている。いずれも業績は順調といい、第3の事業として情報保護に関するプロジェクトも立ち上げているという。
ただし、ブロックチェーンに今後一切関わらないわけではなく「会社としては研究開発的な関わりを継続するものの、少なくともむこう1〜2年はブロックチェーンを軸にした事業をしない意思決定をしている」とした。
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