日販、TikTok書籍フェアに本腰 30年前の小説がバズって重版 「影響力は絶大」
出版取次最大手の日本出版販売が、TikTokを活用した文庫本紹介キャンペーンを始めた。過去にはTikTokで話題になった本が3万5000部の重版になったこともあり「影響力は絶大」という。
出版取次最大手の日本出版販売(以下、日販)は8月23日、ショート動画SNS「TikTok」を活用した文庫本紹介キャンペーンを始めた。10月11日までの期間中、集英社や小学館など出版社5社がそれぞれのTikTokアカウントから本の紹介動画を投稿。それらの本を全国約600店舗の書店で同時展開し、リアルとネットの掛け合わせで若者層にアピールする。
TikTokでターゲットにするのは10代を中心とした若者層だ。日販によると、TikTokで話題の文庫を集めたフェアを一部書店で1月に行ったところ、購入者に占める10代の割合はフェア前より2倍以上高くなったという。
また日販のオウンドメディアでは、1989年初版発行の筒井康隆さん著『残像に口紅を』をTikTokユーザーのけんごさんがハッシュタグ「#本の紹介」付きで紹介して話題になったことに言及。けんごさんの投稿後、全国の書店やネット書店で売り上げが急増し、3万5000部の重版につながったといい「『#本の紹介』の影響力は絶大。短くてもインパクト抜群の動画で本の魅力が紹介されて注目を浴び、新たな読者が急増している」としてキャンペーンを決めたという。
キャンペーンには集英社と小学館、スターツ出版、文芸社、ポプラ社が参加。各社が選んだ「10代が夏に読むべき作品」10冊を紹介する。ユーザーがハッシュタグ「#本の紹介」を付けて投稿した動画はTikTok上の特設ページで表示するほか、抽選で10人に図書カードをプレゼントする。
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