Apple、アプリストア訴訟で開発者と和解 支払いオプションについてユーザーとの直接交渉を認める
Appleは2019年に独禁法違反だとして米開発者が提訴した裁判で和解したと発表した。米国の小規模開発者向けに1億ドル基金を設立する他、App Store以外での支払いオプションについてユーザーに通知することの許可などを譲歩した。
米Appleは8月26日(現地時間)、2019年6月に複数の米開発者が集団訴訟として行った訴訟で和解に達したと発表した。この訴訟は、30%の手数料、最低価格の義務付け、開発者に対する年間登録料など、App Storeにおける同社の慣行が独占禁止法に違反すると主張するもので、Epic Gamesとの訴訟とは別だが、同じカリフォルニア州北部地裁に提訴された。
Appleは、手数料体系や他のアプリストアの使用禁止などでは譲らなかったが、以下の項目を提案した。
- 開発者が、App Store以外での支払いオプションについてアプリユーザーと直接やり取りできるようにする
- 中小企業への手数料を下げるプログラムを向こう3年間は維持する
- 米国の小規模開発者向けに1億ドルの基金を設立する。開発者の規模に応じて250ドル〜3万ドルの範囲で支援する
- App Storeの検索結果が客観的な基準に基づいていることを確認する
- アプリの価格設定を、現在の100未満から500以上のオプションに増やす
- App Storeから削除されたり登録を拒否されたりしたアプリの数などに関する透明性レポートを発効する
これらの提案は、1億ドルの基金以外は米国だけでなく、グローバルに実施する。
Appleは現在、開発者がメールなどでユーザーにApp Store以外でのアイテム購入方法について通知することを禁止しているが、「開発者がメールなどの通信を使ってApp Storeの外での支払い方法に関する情報をユーザーと共有できる」としている。App Store外での決済については当然Appleに手数料を支払う必要はない。
アプリ開発者がユーザーに支払いオプションを通知できないことは、欧州委員会の異議申し立ての焦点になっている。
Apple Fellowのフィル・シラー氏は発表文で「App Storeの目標を支援し、すべてのユーザーの利益のためにこの合意に向けて協力してくれた開発者に感謝する」と語った。
原告側の弁護士、スティーブ・バーマン氏は発表文で「苦労して獲得したこの和解は、App Storeを通じてアプリを配布する米国の開発者、特に小規模な開発者に有意義な改善をもたらす」と語った。
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