オリンピック、パラリンピックのアスリートも標的に ネットを荒らす“troll”の誹謗中傷:IT基礎英語(2/2 ページ)
IT関係では「パテントトロール」でも知られる“troll”。もともとは妖精なのだが……。
IT業界でtrollが問題になり始めたのは1990年代。巨額の損害賠償を支払わせる狙いで特許訴訟を仕掛ける「Patent Troll」が台頭して、IT企業を脅かした。
そしてSNSが普及すると普通のユーザーがtrollと化した。アメリカのトランプ前大統領時代に目立ったのは「Trump Troll」。大挙して対立陣営を集中攻撃し、トランプ氏支持の偽情報を拡散させるなどの荒らしを展開した。
英語の俗語をパロディ的に解説するオンライン辞典のUrban Dictionaryは、Trump Trollをこう定義している。
A person who is incapable of rational thought but feels the need to post trump propaganda without any ability to check it fir factuality. Will defend position with cursing and threats. Displays ignorance, racism and disdain for humanity.
合理的な思考ができなくても、トランプのプロパガンダを事実かどうか確認できる能力もないまま投稿する必要性を感じる人物。罵倒や脅迫で立場を守る。無知、人種差別、人間性蔑視を見せつける。
主要SNSは誹謗中傷の投稿を禁じているし、競技団体などもアスリート応援を表明している。サッカーの欧州選手権決勝でイングランドの黒人選手が誹謗中傷された事件では、警察がソーシャルメディア企業に情報の提供を求め、人種差別的な投稿をしていた11人を突き止めて逮捕した。警察トップは「more racist England trolls will be arrested」(さらに多くの人種差別イングランドtrollを逮捕する)と表明している。
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