コロナ禍で盛り上がるバーチャルイベント 普及の鍵は「スマホ参加型」にあり(2/2 ページ)
仮想空間上の「お台場」や「渋谷」で開催したイベントに数十万人が参加した。高価な機材を使うVRと違い、スマホで参加できるバーチャルイベントは今後のイベントの鍵になりそうだ。
リアルで集まれないからこそ「バーチャル渋谷」でハロウィーンフェス
VRヘッドセットとスマホ、タブレットの両方から参加できるマルチデバイス対応のバーチャルイベントにも注目したい。手軽に参加したい人はスマホを使い、より高い没入感を求める人はVRヘッドセットで参加するなど、双方のニーズを満たせる。
ここでは、東京都渋谷区が公認し、渋谷駅前などを忠実に再現した仮想空間「バーチャル渋谷」を取り上げる。バーチャル渋谷内で20年10月にハロウィーンフェスを開催した。きゃりーぱみゅぱみゅ、BiSHなどのアーティストがライブを行い、会期中に延べ約40万人以上がアクセスしたという。
バーチャル渋谷を拡張した「原宿エリア」には、原宿に店を構えるアパレルショップがバーチャルに出店した。ECサイトと連動しており、仮想空間内で商品を購入できる。スター発掘オーディションのライブ中継も実施。ミクシィ主催の歌唱コンテスト参加者のパフォーマンス映像を仮想空間内で見ることができた。
21年のハロウィーンイベントでは、スマホで自分の姿を撮影し、専用アプリで自分そっくりのアバターを作成してバーチャル渋谷に参加できる。好きな姿になれるのがアバターの醍醐味(だいごみ)だが、自分そっくりのアバターに衣装アイテムを着替えさせて遊べる。アバター生成システムはITベンチャーのPocketRDが提供する。
VR普及はまだ先、バーチャルイベント普及の鍵は「スマホ参加型」か
思い返せば、初期のメタバース(多人数が参加できる仮想空間)として注目を集めた米Linden Lab社の「Second Life」(2003年にサービス開始)も、多くの人が集まる場所でコマ落ちせず快適に過ごすには高いスペックのPCが必要だった。デバイスのパフォーマンスによって体験の質が変わることを踏まえると、VRが普及するにはまだ時間がかかるかもしれない。
しかし、VRヘッドセットを使わなくとも会場に参加している体験や感覚を味わえるバーチャルイベントのメリットは大きい。YouTubeライブのような映像配信型など提供されたコンテンツを見るだけのオンラインイベントとは別物だ。
参加者は仮想空間の中で音楽ライブやシアター、展示会といったコンテンツを手軽に、世界中のどこからでも楽しめる。スマホやタブレットはVRヘッドセットと比べて普及率も高いため、イベントを企画した担当者やアーティストにとっては、多くの人が来場する可能性に期待できる。
先ほどのフジテレビの例では、現実の建築物がデジタル上にも存在するミラーワールド(鏡像世界)故に、リアルイベントでは怒られそうな遊びでも臨場感たっぷりに楽しめる。この楽しさはVRイベントだけでなく、バーチャルイベントにもあるメリットだ。
秋以降も、東京ゲームショウ(9月30日から10月3日まで開催)や集英社の「ジャンプフェスタ」(12月18日から19日まで開催)など、これまでリアル会場で催していたイベントがスマホで参加できるバーチャル会場を用意する予定だ。バーチャルイベントの様子が気になる読者は、ぜひ体験してみてほしい。
このように、VRだけでなくスマートフォンからでもアクセスできるバーチャルイベントは、今後のオンラインイベントを考える上で、より重要な存在になるだろう。
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