独自チップと新カメラユニットで写真体験はどう変わったか 「Pixel 6 Pro」レビュー(3/3 ページ)
Googleが10月20日に発表した「Pixel 6」「Pixel 6 Pro」。外観だけでなく、カメラ周りを含めた内部まで全面刷新されており、数世代ぶりの意欲的なモデルに仕上がっている。本記事では、カメラ性能を中心にレビューする。
流し撮りや「消しゴムマジック」が面白い
Google Tensorならではの新機能もチェックしよう。リアルトーンに関しては、さまざまな被写体で撮影する機会がなかったため、日本人の友人でテストした。外が夕方の雨で寒色系、室内が暖色系という光がミックスしたシチュエーションだったものの、どちらにも引っ張られず正確な肌の色で撮影できた。ただし、もともとPixelシリーズは他のスマートフォンと比べてホワイトバランスが優秀のため、リアルトーンが寄与したのか、改善されたホワイトバランスのおかげかは判別がつきにくい。
モーションモードは撮影がより楽しくなる機能だ。クルマなどの高速に移動する被写体の動きにあわせてパン撮影(横方向の動き)すると、被写体はピタッと止まったまま背景が流れる躍動感のある写真が撮れる。ただし、β版のためか100発100中とはいかず、3〜4枚撮影した1枚当たりといったところか。他のスマートフォンで同じようなことをしようにも、日中はシャッタスピードが早すぎて背景が流れず、夜では手ブレが起こりやすくなかなかきれいに撮影できない。昼でも夜でも流し撮りが試せるという意味では、Google Tensorの実力ありといったところか。
長時間露光撮影は少しクセが強い。手持ちで撮影できるとは書いたものの、少しでもブレると撮影が終了してしまう。時間指定などができないため、狙ったタイミングと長さで撮影するには向かない。もちろん、スマホを固定して撮影すれば、デジタル一眼でシャッタースピードを数秒開けたような効果が得られる。正式版では使い勝手が改善されることを願う。
Pixel 6シリーズには「Face Unblur」と呼ばれる顔のブレ軽減機能も搭載されている。これは、撮影前から人間の顔を検知し続け、撮影時に広角カメラと同時に超広角カメラでも記録する。広角カメラは通常の露出でノイズを抑え、超広角カメラはより速いシャッタースピードで顔のブレを軽減して撮影しており、2枚の画像を組み合わせることで、顔がブレていない鮮明な写真を生成できるという。これは専用のモードが設けられているわけではないが、走り回る子どもなどを撮影する時に有用な機能といえるだろう。
他のPixelスマホにも搭載予定の「消しゴムマジック」もなかなか面白い。Photoshopのように、写真に入り込んだ人物やオブジェクトを消す機能だが、不要と思われるオブジェクトを自動で検知し、「消す」をタップするだけで画像から消える。検知できない場合でも、指で該当する箇所を丸で囲むだけで追加処理してくれる。朝焼けの風景を写したところ電線が入ってしまったが、消しゴムマジックを適用すると電線を余計なオブジェクトと自動で認識し削除してくれた。正確には1度では削除できず2回ほど丸で囲んだが、簡単に不要なものを消すことができた。
このように、TPUを積んだGoogle Tensorで実現した新機能も多い。写真や動画以外では、音声入力の精度とスピードを向上しており、リアルタイム翻訳などがより実用的になっているという。この認識精度はボイスレコーダーアプリでも生かされており、Pixel 6シリーズでは日本語の書き起こしにも対応している。
前回の「Pixel 5」はそれまでの方針から一転し、ミドルレンジのスペックとして価格面のネックを解消しようとしたモデルだったものの、今回は従来通りのハイエンド路線に回帰し、その路線に恥じない形に仕上げてきたといえる。しかもPixel 6はPixel 5と同じ7万4800円から入手できる(Pixel 6 Proは11万6600円から)。
iPhoneなどハイエンドモデルが好まれる日本のスマホ市場で、今回の路線再変更がうまく作用するかに注目したい。
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