成層圏の無人機からスマホへの直接通信も可能に? ドコモとエアバスが電波伝搬実験
NTTドコモと航空機器メーカーの仏エアバスは、高度約20kmの成層圏を飛行する高高度無人機(HAPS)を使い、成層圏から地上アンテナへの電波伝搬測定実験に成功したと発表した。
NTTドコモは11月15日、航空機器メーカーの仏エアバスと共同で、高度約20kmの成層圏を飛行する高高度無人機(HAPS)を使い、成層圏から地上アンテナへの電波伝搬測定実験に成功したと発表した。実験で、成層圏から地上のスマートフォンなどのデバイスに通信サービスが提供できる可能性を実証。両社は、山間部や離島、海上といった通信しづらいエリアのほか、災害対策やユーザーが密集するイベント会場などでの通信サービス提供を目指す。
HAPSはエアバスの「Zephyr S」(ゼファーS)を使用。スマートフォン向けの通信に利用される2GHz帯の周波数を用いて、HAPSに搭載した無線機と地上のアンテナと直接接続し、通信距離や気象条件など電波の減衰特性を分析した。加えて、低速ながら長距離通信が可能な450MHz帯を使用し、約140kmの長距離接続にも成功したという。
実験は2021年8月25日から9月13日まで実施。成層圏には18日間滞空。HAPSの最高到達高度は約23.195kmに達した。
HAPSを使った通信実験はソフトバンクも注力しており、2020年10月8日には成層圏の飛行体を使って無線インターネットを提供する米Alphabet傘下のLoonと共同で、HAPS「Sunglider」(サングライダー)を使い、成層圏からスマートフォンへの直接のLTE通信(700MHz帯を使用)に成功している。HAPSとゲートウェイ間を70〜80GHz帯で接続し、HAPSと接続したスマートフォンからビデオ通話を実行したという。
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