ロシアがミサイルで人工衛星を破壊、1500以上のスペースデブリに ISSの宇宙飛行士は一時避難
アントニー・ブリンケン米国国務長官は、ロシアが自国の衛星をミサイルで破壊する実験を行ったと声明を発表。「無謀で無責任な行動」と非難している。
アントニー・ブリンケン米国務長官は11月15日(現地時間)、ロシアが自国の衛星をミサイルで破壊する実験を行ったと声明を発表した。ブリンケン国務長官は、ロシアが実施したこの実験を「無謀で無責任な行動」と非難している。
声明の発表時点で、宇宙を漂う人工物「スペースデブリ」が1500個以上発生。今後さらに数十万個の小さな破片が発生する可能性もあると説明する。スペースデブリは、人工衛星などと衝突するリスクがある他、宇宙ステーションに滞在する宇宙飛行士たちの命を脅かす可能性もあるため対策が必要とされている。
米政府は「この危険で無責任な実験によって生じた破片は、今後何十年にもわたって、全ての国の人工衛星やその他の宇宙物体を脅かすことになる」とし「無謀で無責任な行動によって、宇宙空間の長期的な持続可能性を危うくし、全ての国による宇宙空間の探査と利用を危うくしようとしている」とロシアを非難した。
米政府は同盟国などと協力し、ロシアの行動に対処し、他の宇宙開発国がこのような危険で無責任な破壊実験を行わないように呼びかけるとしている。
この実験を巡り、米航空宇宙局(NASA)のビル・ネルソン長官は「ブリンケン国務長官と同様に、私もこの無責任で不安定な行動に憤慨している。有人宇宙飛行の長い歴史を持つロシアが、ISSに滞在している米国などの宇宙飛行士だけでなく、自国の宇宙飛行士も危険にさらすとは考えられない」とコメント。
ISSは、実験により発生した破片の近くを2回通過しており、その際に宇宙飛行士たちは宇宙船に避難する緊急措置を実施したという。
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