「空気を読む」を逆手に取って社内のITリテラシー向上 Cygamesが実践した4つの工夫(2/2 ページ)
研修も監査もITリテラシー向上効果が薄かったCygames。そんな同社がリテラシー向上に成功したのは、ある取り組みで社内の“空気感”を変えられたためという。Cygamesが進めた取り組みとは。
「研修」「罰則強化」はなぜダメなのか
親近感の持ちやすい内容を定期的に発信することで、従業員のリテラシーを高めているCygames。ただ、従業員の意識を向上するだけなら、研修の実施や罰則の強化など、他にも手はあるはずだ。そんな中、なぜ「雰囲気作り」でリテラシーを高めようと思ったのか。津留さんによれば、背景にはCygamesの企業文化があるという。
Cygamesはゲーム企業である都合上、ITエンジニアやビジネスパーソンだけでなく、クリエイターも多い。ルールを強制的に守らせる、罰則を強化するといった手を打つと、クリエイターの創造性を損ねてしまったり、業務効率が悪くなったりする可能性があり、断念せざるを得なかったという。
一方で、研修は一時的に効果があっても長期的な意識改善にはつながらなかったり、独自の監査を行っても従業員全体の意識向上にはつながらなかったりと、いずれも限定的な効果しか得られなかった。
リテラシーが高いチームでは“空気感”が共有されていた
これを受けた津留さんは「企業文化に合わない施策は浸透しない」「受け入れる状況ができていなければ、研修などを実施しても一時的な効果しかない」と判断。これと並行して、社内でもリテラシーの高いチームにその理由をヒアリングしたところ、マネジャーなどキーパーソンのリテラシーが高く、チーム全体でトラブルを防ぐ空気感が共有されていることが分かった。
そこで津留さんはヒアリングしたチームを見本に、まずは社内の空気感を変えることで、全体のリテラシーを底上げしようと判断。継続的な情報発信を実施するに至ったという。
「空気とは暗黙の了解であり、日本人は空気を読む。『KY』(空気読めない)という言葉が流行るくらいその価値観は浸透しているため『よし、空気感を作ろう』と考えた」
「情報は意識の低いところから漏れる」
地道な工夫で社内リテラシーの改善に成功したCygames。一連の取り組みについて、津留さんはこう振り返る。
「個人情報は最もセキュリティ意識の低いところから漏れるため、意識の底上げが重要。(Cygamesの場合も)取り組みを続けていくと、あるとき急激に『(全体の)ITリテラシーが上がった』と感じられるタイミングがあった。他部署にも話を聞いてもらいやすくなるため、リテラシーが底上げできると、さらなる環境作りもしやすくなる」
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